事業ローンに連帯保証人は必要?

事業資金を調達する時に出てくる悩みの1つが連帯保証人に関することです。無担保・保証人不要の事業ローンでは、連帯保証人を立てずに契約することができるのでしょうか。

会社経営をするにあたって知っておきたい事業ローンと個人保証の関係を見ていきます。

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事業ローンは経営者の連帯保証が必要

無担保・保証人不要の事業ローンであっても、経営者の連帯保証が求められるケースがほとんどです。

経営者の連帯保証なしで貸し付けをしてしまうと「ビジネスがうまくいかなくなったら、会社をつぶせば良いか」と安易に考える経営者も出てきます。

あまりにも安易な考えでビジネス展開されるのは事業ローンを扱う金融機関としても不安ですから、経営者の連帯保証をつけることで、経営者の自覚を促すねらいです。

連帯保証人とは

そもそも連帯保証人とはどのような意味かを理解しておかないと、責任範囲がはっきりしません。保証人との違いは、大きく分けて3つです。

1.催告の抗弁権がない
主債務者(事業ローンの場合は会社)が借りたお金を返せなくなった時、いきなり連帯保証人に対して請求が来ても対抗する権利はありません。

本人にまず請求してほしい、と要求する権利を「催告の抗弁権」と呼んでいます。催告の抗弁権がない連帯保証人が「会社にはまだ返せるお金がある」と主張しても認められず、自分への請求をはねのける理由にはできません。主債務者同等の返済義務を負い、返済を余儀なくされます。

2.検索の抗弁権がない
会社には返せるお金があるのに「返済できない」と言い張った際にも、連帯保証人のところに請求が来ます。

保証人であれば「まずは会社の資産の強制執行をしてほしい」と主張することができますが、連帯保証人だとできません。会社に余力があるかどうかは関係なく、肩代わりを要求されるリスクを負います。

3.連帯保証人が複数人いても順位がつかない
連帯保証人が複数人いた場合は「誰から話しを持ちかけても問題ない」ということになります。

たとえば、事業ローンの連帯保証人に共同経営者の2人がなった場合です。「実質的な経営はAさんが行っていたので、先に話しを通してほしい」といった主張はできず、同等の義務を負います。

保証人のように頭割りで責任を負うわけではなく、ローン金額全てに対して、連帯保証人全員が責任を持つということです。

保証人よりもかなり重くて大変な立場に立たされるのが連帯保証人と考えてください。安易になるものではなく、連帯保証人になるからには一定の覚悟が必要でしょう。

無担保事業ローンとは

ここで気になるのが「無担保」のローンなのに、なぜ連帯保証をしなければいけないのかという点です。無担保の表記だけを見て「連帯保証人がいらない」と判断できるわけではありません。

表記における「無担保」とは「第三者保証人や不動産担保をたてずにローンが組める」ということです。

第三者保証人とは、経営者とは別生計の家族や友人、知人にお願いして保証人になってもらうことを指します。会社にもしものことがあっても資産が損なわれることがない人物に保証人になってもらうことで、貸し倒れリスクを軽減するねらいです。

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連帯保証が必要な事業ローンのメリット

連帯保証人になるのはどうしても嫌だ、という経営者もいるはずです。そんな人に考えてほしいのが、自分のビジネスに関して連帯保証人になることでメリットはないのか?というところ。毛嫌いされがちな連帯保証人の仕組みですが、メリットもいくつかあります。

信用力を補完できる

経営者が連帯保証人になるメリットとして、信用力を補完できる点があげられます。業歴が浅い、経営状態が優れないといった事情がある時、純粋に会社の信用力だけで評価されると、審査に通過できないケースも出てくるものです。

経営者の連帯保証をつけることにより「このローンに関して、私自身が責任を持ちます」という意思表示をしてくれます。経営者自身の信用力が上乗せされることによって、審査難易度を下げることもできるところは利点です。

低金利で借りられる

信用力を補完できるということは、低金利に抑えてくれるということです。貸し倒れリスクが高くなれば金利を高くしないとローン会社の経営が成り立たず、資金調達コストは高くなります。

事業ローンはまとまった金額を融通してもらうケースも多いため、一定の信用力が必要です。連帯保証がつくからこそビジネスに必要な金額の限度額設定も相談できるようになるということ。経営者自身がリスクを負う代わりに、優遇条件が認められるケースもあります。

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連帯保証が必要な事業ローンのリスク

連帯保証人になるとどんなリスクが生じるのか知らないと、判断に迷います。

連帯保証人は債務者と同等の責任を負うため、借りたお金の全額を肩代わりしなくてはいけません。現金で支払いができれば良いのですが、数百万円単位のお金が手もとにある人ばかりではないでしょう。

預貯金はもちろん、自宅やマイカーまで弁済に充てなくてはならないケースもあり、会社が倒産すると同時に経営者自身も自己破産しなくてはいけない状況も出てきます。

子どものためにかけていた保険や貯めていた定期預金も弁済にあてるとなったら、家族への影響も免れません。今後のクレジットカード作成やカードローン契約も、当然ながら制限されます。

連帯保証人になった以上、中小企業の経営者と会社は一心同体のようなものです。事業資金の調達を簡単に考えず、家族の生活や今後のライフプランまで考慮して判断しましょう。

経営者保証なしで融資を受けるための仕組み

ここまで見てきた通り、中小企業を対象としたビジネスローンは、経営者の連帯保証が原則です。

これが思い切った事業展開や事業再生を妨げる要因になっていると考える政府は、経営者保証に関するガイドラインを公表しました。

一定の事象に該当すれば、経営者保証を変更・解除することができるかもしれません。

経営者保証に関するガイドラインとは

中小企業の経営者や個人事業主の負担を軽減するため、設定されたガイドラインです。法的拘束力があるわけではないものの、金融庁や中小企業庁主導でガイドラインに沿った取組みがなされるように、金融機関に対する働きかけが行われています。

ガイドラインが適用される条件として、法人と経営者の明確な分離・経営の透明性が求められます。法人と経営者の明確な分離とは、役員報酬やオーナーへの貸付など資金のやり取りを社会通念上適切な範囲に留めることです。

自分としては妥当な範囲、という理屈は認められず、公認会計士や税理士など専門家による検証が推奨されます。

経営の透明性とは、会社がどんな状況にあるのか随時確認、金融機関から要請があった時には速やかに資料の提示を行うことです。

資産や負債の状況はもちろん、事業計画や業績見通しに関する資料もこの範囲に含まれます。

ガイドライン適用で受けられる対応

ガイドラインを利用して融資の申込を行った場合、金融機関には、経営者保証を求めない融資もしくは代替手法を検討する対応が求められます。

代替手法とは、金利の上乗せや解除条件付保証契約、ABLなどのことです。解除条件付保証契約とは、金融機関が設定した特約条項(コベナンツ)を満たしたら、保証を解除できる手法を指します。

ABLとは、在庫や売掛債権といった動産を担保にして貸し付けを受ける手法です。経営者自身の連帯保証とどちらを負担に感じるかは検討する必要がありますが、個人の責任を免れるという観点では有効な選択肢の1つでしょう。

経営者保証なしの融資を慎重に検討した結果「やっぱり保証をつけてください」となっても、適切な保証額に留める必要が出てきます。

これまでの事業ローンのように限度額目一杯の連帯保証ではなく、一部だけの保証契約も検討されるということです。

また「こうなったら、経営者保証を外せます」という具体的な条件や見込みがあることを丁寧に説明するように指示しています。経営が軌道にのったり経営状態が改善されたりすれば、責任範囲を縮小することもできるはずです。

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既存契約の経営者保証見直しも可能

すでに連帯保証人になっている経営者でも、見直しを依頼することはできます。適時適切な情報公開や経営の分離、透明性といった条件をクリアできている会社が対象です。

金融機関に対してガイドラインを適用することはできないか打診があった際には、真摯な対応が求められます。

全てのローンに対して保証を外すことはできなくても、解除条件を設定してもらうこと・金利の上乗せなど条件を提示してもらうことができる可能性が出てきました。

連帯保証人の地位を相続する場合も対象

父親が経営していた会社の連帯保証人になっている場合、保証人の地位も相続対象に入ってきます。

事業承継に伴ってそのまま連帯保証の地位をスライドさせるのではなく、契約の必要性を金融機関が改めて検討する決まりです。

会社を承継した立場としては、経営者が変わったことで事業計画に変更はあるか、経営方針はどうなるのかを説明する義務があります。

お互いに責任を果たすことで経営者の保証を外す、もしくは条件変更が可能になるケースもあるという意味です。

廃業や債務整理する時のガイドライン活用法

連帯保証人のリスクのところで、自宅がとられてしまうリスクもあると言いました。ガイドラインを活用すれば、廃業時に自宅を守ることができる見込みもあります。

具体的には、連帯保証人になっている経営者が「これ以上は事業を継続できない」と早めに判断、金融機関に知らせて事業再生や清算を行った場合、華美ではない自宅や一定期間生活できるだけの資金を残す交渉ができる仕組みです。

一定期間の生活費ですが、33万円/月に雇用保険の給付期間を掛けた分を参考に考えます。一般的な失業者と同じように、次の仕事を探すまでの生活を保障するイメージです。

債務に関しても一括で返却を求められるわけではなく、弁護士や会計士など専門家のサポートを受けながら、弁済計画をたてることになります。

事業再生で経営者が引き続き会社の運営に携わるかは、金融機関の判断によります。一定の経済合理性がある場合は経営参加が認められるケースもあり、会社を存続する選択肢が全くのゼロというわけではありません。

ガイドライン利用や経営者保証の相談窓口

ガイドラインを利用して経営者保証を外すことに関する具体的なアドバイスは、
地域の商工会議所、中小企業基盤整備機構に相談しましょう。

年3回まで専門社派遣制度を無料利用することもできますから、なるべく費用をかけずに保証の問題をクリアしたい経営者さんにはおすすめです。

ガイドラインを利用することができるのかそもそも分からない状態でも、無料相談は受けられます。

中小企業の経営をサポートすべく行政が始めた仕組みですから、上手に活用することで、資金繰りに関する悩みを解消しましょう。

結論としては、基本的には事業ローンを組むために経営者が連帯保証人となる必要がある(連帯保証人は必要)。ただし、この状況を問題視した政府主導のガイドラインが出されていて、交渉の余地はあるというところです。

ガイドラインの存在を知らずにやむをえず連帯保証人になった経営者さんも、状況を改善するチャンスはあります。

自分の会社はどうだろう?と思ったら、上で紹介したような公的機関の相談窓口や金融機関の担当者に聞いてみましょう。

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