事業ローンの資金使途は?

事業ローンの申込書の中に資金使途についての記述があり、書き方に迷ってしまう人もいます。そもそも資金使途とはどのような意味なのか、どんな書き方をすれば良いのかを見ていきましょう。

資金使途の書き方によっては、事業ローンの審査に影響が出るケースもあります。申込前に確認しておきたい基礎知識にあたりますから、事業資金の調達を考えているなら、ひと通り目を通しておきましょう。

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事業ローンの資金使途とは

資金使途を分かりやすく言い換えると「事業ローンで調達したお金を何のために使うか」です。設備投資や運転資金など、お金が必要な理由は人それぞれ異なります。

どんな目的で使うのかが分からないと貸して良いのかの判断に困るケースがあるため、申込に際して明確にしておきたいと考えるのは当然です。

事業ローンの申込フォームの入力項目になっていたり電話連絡を受けた際に直接聞かれたりと、確認されるタイミングは会社によって異なります。それでも、使途を聞かれずに契約することは難しいと理解しておきましょう。

ここでふと「でも、使途自由って書いてあった」と気になる人もいるはずです。確かに事業用ローンは、ビジネスに使うための資金だったら使途自由とされるケースがよくあります。

使途自由とはいえ、活用法を告げずにお金を借りることとは性質が異なるものです。いわば「どんな理由でもたたき台にのせることはできるけど、使い道は教えてください。

合理的な理由でなければ貸さないよ(貸し倒れが起こると困るからね)」というイメージです。特定用途に使われることが条件で貸し付けできるローンだったら、資金使途が商品特性に沿っているかがより厳格にチェックされます。

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事業ローン審査で説得しやすい資金使途

ここまで重要視される項目ですから、審査においてのポイントになります。資金使途の書き方によって事業ローンの審査が難航するリスクもあるので、きちんと準備をしたうえで申込をしないと契約には到りません。

銀行や消費者金融、信販会社が納得できる使途であるほど、審査通過率が高くなるのが通常です。事業ローン審査でネガティブな印象を与えにくい使途の例を参考までに見ていきます。

運転資金

運転資金とは、日常的に行っているビジネスを支える資金を指します。仕入れの支払いと売掛金を現金化できるタイミングがずれて一時的に資金不足になった、まとまった注文が入ったために材料調達資金が足りないなどの理由から資金調達を行うケースが良い例です。

運転資金の確保は事業ローンのスタンダードな使途にあたり、ネガティブな印象は持たれにくい理由と言えます。

運転資金を使途にする場合の注意点

運転資金を使途にする場合、金額の妥当性が問われるケースはあります。決算資料から読み解いたビジネス規模にはそぐわない大金を希望金額とした場合「どうしてそんなに必要なのか?」と疑われるリスクが生じるためです。

先の例だと「まとまった注文が入っている」ということを資料を提示しながら説明できれば、大きな障壁にはなりません。

欲張って必要以上の事業ローン枠を確保しようとすると、マイナスに作用するリスクがあります。明確な根拠をもとにして、妥当と判断される金額を記入しましょう。

設備資金

新商品を開発するための機械や事業用車両購入、工場の増改築費用などは、設備資金に含まれます。

事業用車両も設備投資として認められるケースはありますが、車両に会社の名前を入れること・法人名義で登録することなどが条件です。

プライベートに使う車を購入、設備資金をまわすことはできないため、公私の区別をきちんとしましょう。

設備資金を使途にする場合の注意点

設備資金は希望額が大きくなりやすいことがあり、チェックが厳しくなりがちです。新商品開発や新しい工場を取得するなど明確な使途がある場合、採算性を見られるケースもあります。

プロジェクトの収支見込みを明確にする、投資とリターンの対応表を作るといった事前準備をきちんとすれば、審査にプラスに影響することもあるはず。社内資料の一部を提示、判断基準にしてもらうのも一案です。

季節資金

決まった時期に毎年かかる資金です。従業員のボーナスやお中元、クリスマスなど特定シーズンに出す限定商品の製造、仕入れも該当します。

季節資金の場合は前年度の実績から金額の目安を特定しやすく、明確な使途として認められやすい理由です。

運転資金の一部と考えて使途を書くことも可能ですが、より明確な内容を示すことで、審査通過率は高まります。事前に予測できる出費でもあるため計画的に用意して、稼ぎ時に備えましょう。

季節資金を使途にする場合の注意点

出費の目安が特定できるということは、いい加減な金額を希望しても通りません。高すぎる金額を書けば、担当者の心象は悪くなります。

相手は金融のプロですから、浅はかなごまかしは通用しません。誠実な対応で必要なお金を確保しましょう。

納税資金

半期ごとに納める税金もよく使われる資金使途の1つです。基本的には利益が出ているから税金を納めるわけで、調子が良かったタイミングほどまとまった出費になりがちでしょう。

利益の中から一部を積み立てておけば良いのですが、帳簿通りに進むことばかりではありません。手もとにある現金でまかなうことができなければ、ローンから調達してでも支払う必要が出てきます。

納税資金を使途にする場合の注意点

納税資金でお金を借りる際には、納付書との対応関係をチェックされます。今期の書類作成が間に合わない場合には、予定金額をまとめた資料を提示しましょう。

きちんと資料を提示できる状態なら銀行融資も選択肢に入ってきますが、急ぎの場合は事業ローンがスムーズです。必要な期限までに現金が入ることを前提として、商品選びを考えましょう。

事業承継・相続資金

自分が興したビジネスを信頼できる知人や身内に引き継いでもらいたいと思った時、まとまった資金需要が発生するケースがあります。

前もって事業承継に向けた準備を進める資金なら、ローン会社への説明として分かりやすく、説得しやすい内容でしょう。たとえば、相続によって会社の株式や資産が分散しているケースです。

次に経営を担当する人がきちんと実権を握れるように、資産の買取りが必要となることがあります。

集めた資産を引き継ぐ人に譲渡するなら、贈与税の支払いが必要です。経営者の交代によって一時的に取引条件が厳しくなったり買掛金の前倒し返済を求められたりするリスクもあり、明確な資金計画がないとスムーズには進みません。

事業承継・相続資金を使途にする場合の注意点

中小企業の事業承継は政府としてのサポートを強化している分野にあたり、都道府県知事の認定を受けた中小企業に対しては、金融支援措置がとられます。

相続税や贈与税が多額になる見込みがある・事業承継に際して仕入先から不利益になる扱いを受けたなど一定の条件を満たす企業に対しては、資金調達で特別金利が適用されるなど、優遇される仕組みです。

具体的には、信用保証協会の債務保証の別枠化が設定されて審査に通りやすくなる・通常よりも低金利で借入できるといった優遇内容が考えられます。

そこで考えて頂きたいのが、事業ローンが最善の選択か?という点です。普段なら銀行とのおつきあいは難しい会社でも、特例対象になることで審査に通る可能性があります。

一般的には、信販会社や消費者金融が扱っている事業ローン金利より銀行の設定金利の方が低いはずです。

規程の手続きフローで申請したり一定の期日までに金融機関と調整したりする必要があり、お金を手にできるまでに必要な作業は増えますが、返済に際する負担はかなり減ります。

最後に見た事業承継・相続資金のように、使途がはっきりしている場合は事業ローン以外の商品を検討した方が有利となるケースはあります。少しでも支払い負担を軽減して会社の収支を安定させるべく、よく考えて判断しましょう。

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資金使途と違うお金の使い方をするとどうなる?

借りる時には「設備資金に使う」と申請したにも関わらず、別の要り用が急に生じた場合、使途を勝手に違えることはできるでしょうか。

たとえば、お金が入ってくるまでは確かに申請した使途を考えていても、急な仕入れが必要になったり取引先の事情で入金を急ぐように言われたりしたケースです。

手もとに現金があれば魔が差す人もいることでしょう。「事業資金には違いないから、きちんと返せば同じこと」という考えも起こりえます。

全額返済や信頼低下リスクが生じる

金融機関としては使途に対する審査を行って事業ローンを通したため、約束違反に気付いたら「今すぐ返してほしい」となります。

資金使途を勝手に変えられてしまったら審査をやり直す必要があるのは当然です。使ってしまって残っていない、など借り手の事情は考慮されず、全額返済を請求されるリスクがあります。

全額返済は免れた場合でも、金融機関からの信頼はなくなるはずです。追加の資金需要が生じた時に取引に応じてもらえないリスクがあり、経営が行き詰まる事態にもなりかねません。

日本政策金融公庫で特別利率を受けていた場合は、貸し付け当初にさかのぼって差額を支払う義務もあります。

当初考えていたより借入コストが高くなるうえ、今後の相談にのってもらえなくなるのはつらいものです。公的機関からの借入が難しいとなれば民間の事業ローンを探すことになりますが、さらに条件は厳しくなるのが通常でしょう。

ちょっとした気の緩みが経営を揺るがす事態につながることを自覚しておかないと「こんなはずでは」ということになってしまいます。

資金使途違反がバレる理由

リスクを理解してもなお「バレなかったら大丈夫」と考えてしまう人もいることでしょう。銀行や日本政策金融公庫と取引した場合に顕著ですが、資金使途違反は思うより簡単にバレてしまいます。

設備資金として申請している場合、支払いの予定時期を過ぎたあたりで領収書の提出を求められることがあるためです。

他の用途に資金を使って設備投資が後回しになっていれば、領収書は出せません。金額に食い違いが生じた場合も「残りのお金はどこにある?」という話しになり、使途違反が明るみに出ます。

領収書の提出が必要ない場合でも、決算を終えた段階でコピーを提出するように求められた場合は同様です。申告していた金額と同価値の資産が増えていなければ、使途違反はすぐに分かってしまいます。

口座を持っている銀行でローン契約していれば、資金の動きからも明白です。バレなければ良いという問題でもないのですが、すぐに気付かれる違反をするのは控えましょう。

使途違反をする前に気をつけたいこと

使途違反にならないためにも、追加の資金需要が生じた際には正直に相談しましょう。新しく出てきたお金が必要な理由と金額を添えて相談すれば、追加融資を受けることも可能です。

なお、事業ローンの場合はすぐに全額返済すると違約金が生じるケースもあり、先に借りたお金を全部返して新規契約をするというのは、得策ではないことがあります。

違約金は「借入残高の○%」というように決められることが多く、まとまった金額を借りているケースほど、コストは高くなるものです。

せっかく資金調達できて経営を軌道に乗せるチャンスだったのに余計な出費がかさんでは、良い結果にはなりません。このような事態を避けるためにも、お金を借りる前にキャッシュフローの状況と近く必要になるお金について、よく考えたうえで契約しましょう。

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