奨学金が返せなくなったらどうなる?

奨学金は経済的な問題などから進学を諦めてしまう学生を救済するためのものですが、卒業後に思うような就職ができない等でその返済に苦しむ人が増加しニュースになるなどしています。

その影響から、奨学金に対しての漠然とした不安を抱えている人も多いことでしょう。

返済の計画を立てた上で奨学金を申し込むことが大前提ですが、病気や事故、就職困難等、意図していなかった状況に陥って返済が困難になってしまったときにどうすべきかをここでは考えていきたいと思います。

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奨学金利用者の実情

日本学生支援機構の奨学金を利用している人は、平成27年度には大学等の学生の38%、2.6人に一人が利用していました。それに比べ、日本学生支援機構が発足した平成16年の利用率は22%、4.4人に一人の割合だったので、この10年で利用数が大幅に増えていることが分かります。

平成28年3月に貸与を終了した大学奨学生の一人当たりの平均貸与総額は、第一種奨学金で236万円、第二種奨学金で343万円でした。この金額の返済が卒業後始まるわけですが、代表的な返済例では返済額は月15,000円前後となっています。

この金額が多いのか、少ないのか。それは卒業後の奨学生たちそれぞれの環境により大きく異なっていくことになります。

平成27年度末の時点で、奨学金を返済している人の数は393万人、そして、奨学金の延滞額は880億円にものぼっています。

奨学金利用者が年々増え、機構発足時の平成16年から比べると債権額が3倍になっている割に、延滞額割合は年々減ってきてはいるのですが、だからといって880億という金額は決して少ない金額ではないですよね。

日本学生支援機構の奨学金には、先輩奨学生たちからの返済金や国民からの税金等による公的資金が充てられています。このまま延滞が続き増えていくと、国民への負担が増し、将来的に貸与額が減少してしまうというような状況に繋がりかねないため、延滞は絶対に避けなければならないということがわかります。

<参照>:日本学生支援機構「奨学金事業への理解をふかめていただくために」

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なぜ延滞??奨学金の延滞に至るまでの経緯とは

実家で生活しながら通学、通勤をする場合と、在学時もしくは卒業後に上京して一人暮らしをした場合とでは、奨学生本人にかかる負担には大きな差が生まれます。

一人暮らしでは、どうしても生活費の圧迫が大きくなってきます。加えて希望通りの職種への就職ができなかった、正社員ではなく非正規雇用になってしまった、さらには就職できずフリーターとして新生活をスタートせざるを得なかった、など、当初の予定が大きく狂ってしまった場合には、返済という現実がとても大きくのしかかってくるでしょう。

そのために予定通りに奨学金の返済をしていくことができずに延滞という事態に陥ってしまうのです。

このように、延滞が始まったきっかけとしては「家計の収入が減った」「家計の支出が増えた」など経済的理由が多くを占め、次いで「入院・事故・災害等」が続いています。

それとは別に、奨学金制度の理解不足、ということも少なからず理由としてあるようです。

奨学金の無延滞者の中では返済義務があることを申し込む前から知っていたという人は約9割いますが、反対に奨学金の返済を延滞してしまっている人の中で、奨学金の申し込みをする前に返済の義務があることを知っていたという人は、わずか半数です。

残りの半数の人たちは、申し込み手続き中や在学中に知ったという人もいますが、返済開始の時期になって初めて知った、延滞の督促を受けてから知った、という人も2割近くいるという事実も無視できないですね。

奨学金というものを、軽く考えしっかりと下調べをしないまま申し込みをしてしまうのはとても危険です。

なんとなくイメージが先行して、奨学金は返さなくていいモノ、という感じになってしまっている部分が少なからずあるようですが、日本学生支援機構の奨学金は一部を除き返済義務のある借入金であることは忘れてはいけません。

<参照>:日本学生支援機構「平成28年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」

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日本学生支援機構の延滞金

延滞金の内容は、第一種か第二種か、採用年度や終了年度などにより異なりますが、だいたい2.5%から5%の金額が元金に上乗せされていきます。

<参照>:日本学生支援機構「奨学金>延滞した場合>延滞金」

申し込み時点で人的保証を選んでいる場合、延滞をすると本人だけでなく連帯保証人や保証人へ電話と文書で督促が行われてしまいます。そして延滞金が発生します。

3ヶ月滞納をすると、個人信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録され、返済請求に応じない場合は、給料や財産を差し押さえられてしまう強制執行が行われてしまいます。

機関保証を選んでいる場合は、代位弁済で保証機関が未納分の支払いをしますが、保証機関の方から一括で請求が行われます。支払いをしないとこちらの場合も差し押さえの強制執行が行われます。

奨学金の返済が難しくなってきたら

この先返済が難しくなりそうだ、という状況が見えてきたら早い時点で日本学生支援機構へ相談しましょう。

日本学生支援機構では、月々の返済額を減額したり、奨学金の返済を猶予するなど、返還困難者を救済するために、これから紹介するような措置を設けてくれています。

ただ悩んでいるよりも行動を起こすことで最悪の事態を回避することができるかもしれませんよ。

奨学金の減額返還

月々の奨学金の返済額を元の1/2または1/3に減額する制度です。減額、というと総返済額が減るのか、と思ってしまいがちですが、そうではありません。

月々の返済額を減額するということで、その分支払期間が伸びます。元金や利息の返済予定額は変わりません。この制度は1年ごとに願い出ると最長15年まで返済の時期を伸ばせます。

ただ、この制度は奨学金返済の延滞をしていると審査を受け付けてもらえないので、延滞してしまう前に願い出ましましょう。

指定の願出用紙があるので、必要書類などを添えて提出します。

奨学金の減額返還で返済を続けている間に先々の返済の見通しが立った場合は、再度届け出ることで元の返済額に戻すことができます。

奨学金の減額返還を申し出るには、以下の条件を満たしていなければなりません。

◆災害、傷病、経済的理由での返還困難者
経済的な返還困難が理由の場合の所得の基準は、
給与所得のある人は、年間収入金額325万円以下、
給与以外の所得のある人は、年間所得金額225万円以下、となっています。
(奨学生本人の被扶養者は、一人につき38万円を所得金額から控除できます。)
◆届出時点で延滞をしていないこと
◆口座振替による返済していること
口座振替未加入の場合は、口座振替の手続きをしてから申し込みましょう。
◆奨学金の返済方法が月賦返還であること
月賦返還以外を利用していた人は、減額返還を申し出ることで自動的に月賦返還に変更となり、減額返還の期間が終わってもそのまま継続されます。
◆個人信用情報の取扱いに関する同意書を提出していること
未提出の場合は、同意書に記入押印し減額返還願と共に提出しましょう。

※機関保証制度を利用している方については、保証期間は延長されますがその分の保証料が追加で発生することはありません。
※減額返還の期間中、2回続けて振替ができないと、最初に遅延した時にさかのぼって減額返還の適用が取り消しとなり、当初の割賦金に延滞金を加えた金額を返還しなければならなくなります。

<参照>:日本学生支援機構「減額返済」

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奨学金の返還期限猶予

元金や利息の返済予定額は変わりませんが、月々の奨学金の返済を一定期間先に伸ばすことができる制度です。今は返済が難しいけれど、将来的には安定して奨学金を返済していけるという見込みのある人は利用を検討しましょう。

猶予期間中は延滞としての扱いにはならないので、延滞金はもちろん発生しません。返還終了予定の時期が猶予期間分先延ばしになります。

奨学金の返還期限猶予には、一般猶予と猶予年限特例または所得連動返還型無利子奨学金制度とがあります。

一般猶予

奨学生本人が、通常割賦金または減額返還での返済が困難な状況にある場合に、願い出ることによって審査が行われ、通過すれば一定期間返還期限を先延ばしにすることができる制度です。

期間は最長で10年まで延長できます。1年ごとに願い出ることが必要です。

傷病、生活保護受給中、失業中、経済困難、災害、産前産後等の休業などの理由が対象となり、それぞれの状況において条件や基準が異なります。(災害が理由により返還困難の場合は、災害の発生から5年の限度が原則となります。)

手続き方法や申込みの際に必要な書類も、それぞれの状況ごとで異なりますので、以下のページを参照して用意しましょう。

<参照>:日本学生支援機構「返還期限猶予>一般猶予」

猶予年限特例または所得連動返還型無利子奨学金制度

卒業後に一定の収入を得られるようになるまでの間は願い出ることによって返還の期限を引き延ばすことができて、その期間の制限はありません。

この制度への対象者は、第一種奨学金の採用者であり、税込みの世帯年間収入金額が300万円以下(給与所得以外の世帯は税込みの年間収入金額から必要経費(控除分)を差し引いた額が200万円以下であることが条件です。

この制度のための申込手続きは特にありません。第一種奨学金に申し込んだ段階で基準に合致するかどうかを選考し適用者が決定されます。決定後に通知が届くのでそれで確認できます。

奨学金の貸与中にも、特別な手続きは必要ありません。

自分が猶予年限特例または所得連動返還型無利子奨学金制度の適用者かどうかについてを確認する方法は、通知以外でも、貸与開始時に渡される奨学生証の右上、もしくは貸与終了時に渡される貸与奨学金返還確認表の右上に『猶予年限特例』または『所得連動返還型無利子奨学金』と印字されていますので、それらを見てみるといいでしょう。

適用者の卒業後は通常の奨学生と同じ返還方法になりますが、返還が困難なときは、願い出て承認を得ることができれば、一定額の収入が得られるようになるまでは制限なく返還期限を猶予されます。

経済困難が理由である場合、収入(所得)の基準は、給与所得者で年間収入金額が税込で300万円以下(給与所得以外の所得を含む場合で必要経費等控除後の年間所得金額が200万円以下)です。

さらに奨学生が被扶養者の場合には、以下のような条件に該当していることが必要です。

◆乳幼児がいる世帯で奨学生本人以外に保育を行える人がいない世帯である
◆介護を必要とする障害者や療養者または要介護者がいる世帯で奨学生本人以外に介護を行える人がいない世帯である
◆奨学生が妊娠中である
◆身体の障害などやむを得ない理由で就労制限がある
奨学生本人が被扶養者であっても上記の条件に合致していない場合は、一般猶予の経済困難として10年間の猶予の制限付きでの申請となります。

<参照>:日本学生支援機構「返還期限猶予>猶予年限特例または所得連動返還型無理し奨学金の返還期限猶予」

奨学金の返還免除

奨学生本人が死亡した場合や、奨学生本人が精神や身体の障害によって、労働することができなくなったり労働においての制限が課せられてしまう等の状況により、奨学金返還ができなくなった場合は、届け出ることにより、奨学金の全額または一部を免除する制度があります。

以下のページを参照し、問い合わせをしてみましょう。

<参照>:日本学生支援機構「返還免除>死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除」

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奨学金の返還についての相談先

奨学金返還については、心配事あるときは、とにかくまずは以下のページにあるナビダイヤルを利用し問い合わせをしましょう。状況を説明し、最良の方法を調べ、後輩たちのためにもしっかりと返済することを考えていきましょう。

<参照>:日本学生支援機構:「返還中の手続き>返還に関するお問い合わせ」

奨学金の減額制度も返済猶予制度も利用できない時

減額制度も返還猶予制度も利用できない時は、債務整理という法的な手段に頼ることも視野に入れましょう。

債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」という方法がありますが、どの方法も個人情報機関に事故情報として登録(いわゆるブラックリスト)され、新たにクレジットカードが作れなかったり、住宅ローンなどが組めなくなったりします。

奨学金返済という苦しみから逃れるための債務整理ですから、新たに借金をかかえるようなローンなんか組めなくたってなんら問題ない、と捉えることもできますね。

しかし、奨学生本人が自己破産をして免責が認められ奨学金の返済が不要になったとしても、今度は連帯保証人のところへ返済義務が移ることになります。

奨学金の連帯保証人は、両親だったり身内の親戚などに頼むことが多いと思います。

つまり、両親や親戚がその残って入る奨学金返済のすべてを背負わなければならなくなるのです。

大学を卒業した子供をもつ親がその時点で果たして何歳になっているでしょう。そう考えるとその返済を負うにはあまりにも厳しい現実となり、最悪の場合、奨学生本人だけでなく、両親など連帯保証人になった人までもが債務整理をしなければならなくなるという事態に陥ることも十分考えられます。

債務整理は奨学金をチャラにしてくれる、と簡単に考えず、そうならないために、計画的に返済のことを考えていきましょう。

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今月だけ奨学金を返済できない!という時

急遽支出が多くなり今月分だけどうしても返済が難しい!という場合は、一時的にカードローンなどに頼ってみることも考えてみるという方法もあります。

大手消費者金融のカードローンでは、審査が早く、中には初回の30日間は無利息(金利0円)で借りられるものもあります。

まだ3ヶ月以上の延滞をしておらず、今月だけ奨学金の返済が厳しい!ということであれば、検討してみるのもいいかもしれません。(3ヶ月以上の延滞をしているとカードローンの審査に通らない場合があります。)

その後も奨学金にプラスしてカードローン分を返済していかなければならなくなりますが、カードローンは毎月の返済額が少なく数千円というものもありますので、そういったものを選べばそれほど大きな負担とはならないかもしれません。

とは言え、新たに借金を抱えることに変わりはありませんので、安易に考えることなくその後の収入と支出のバランスを良く吟味した上で利用するようにしましょう。

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