預金を担保にしてお金を借りれる定期預金担保貸付とは
急な出費があるのに手元に現金がない場合、普通は無担保のカードローンやフリーローン、不動産や車を担保とした有担保ローンなどを思い浮かべるかもしれませんが、それ以外にも自分の持っている定期預金を担保として借り入れることが出来る制度があることをご存知ですか?
無担保のローンはリスクを回避するために金利が高く設定されていますし、不動産を担保とする場合は金利は低いものの、抵当権設定などの面倒な手続きが多いものです。
しかし、定期預金担保貸付であれば金利も低く、有担保貸付ではあるものの手続きは簡単で、難しい審査もなく、他のローンよりもずっと利用しやすく便利です。
今回は、定期預金を持っている方が陥りやすい、予定外の出費に対応するための、定期預金を担保としてお金を借りる制度「定期預金担保貸付」についてお話していきたいと思います。
定期預金担保貸付を利用するにはどうしたらいいのか、メリット・デメリットも含めて見ていきましょう。
1.定期預金とは
定期預金貸付制度を利用するには、まずは定期預金そのものを持っていなければなりません。
この貸付制度は、「現金が必要になってしまった。定期預金を持っているけれど、解約はしたくない」という方の為のものだからです。
そこでまず、定期預金というのはどのようなものなのか、貸付制度を利用せず解約する場合、どの様なデメリットがあるのかも含めて見ていきたいと思います。
いつでも自由に預け入れ・払い戻しを行える普通預金に対し、定期預金と言うのは一定期間原則として解約することが出来ない預け入れのことを言います。
長期間の預け入れを約束する代わりに、定期預金は普通預金よりも高い利息がつき、お得となるため、使用する予定のないお金は定期にするといいでしょう。
同じ期間預金していたとしても、普通預金か定期預金かで、受け取れる利息の額が違ってきます。
しかし、定期預金の場合、満期日が決められているため、その満期まで解約できないと言うリスクも背負うことにもなりますね。
定期というのは1年~3年以内に満期が来るものがほとんどですが、長ければ5年や10年後の満期というものももちろんあります。また、長期になればなるほど利息も高くなっていくので、長期的に使用する予定がないのであれば、出来れば高金利のものにしたいと考えてしまうことでしょう。
けれど、期間が長ければ長くなるほど、その間に急に現金が必要になってしまう可能性も高くなります。
もちろん、原則として中途解約は不可とされている商品でも、絶対に解約ができないというわけではありませんが、せっかく高金利の定期へ長期間預け入れしていたのに、満期前に解約してしまうと言うのはもったいないですね。
それまで預け入れしていた期間分も、定期預金の利率ではなく中途解約利率が適用されてしまうので、普通口座へ預金していたのと同等の利息しか受け取ることが出来なくなってしまいます。
この中途解約利率と言うのは銀行ごとに決められていますので、場合によっては普通預金よりも低金利となることもあるのです。
堅実な貯蓄を行える方というのは、他のローンなどもあまり利用したことがない、もしくは利用したくないと考える方も多い為、急な出費があった場合は、解約したくないけれど仕方がない、と、中途解約手続きに踏み込んでしまう方も多いと言われています。しかし、それではせっかく高金利と引き換えに預け入れした期間が無駄になってしまいますね。
急な出費が一時的なものであればあるほど解約するのはもったいないです。
また、急な出費を恐れ、定期預金を利用しないと言うのもまた残念です。
しかしこんな時、定期預金担保貸付を利用すると、定期預金は残したまま、それを担保にして必要な分だけ現金を引きだすことが出来るのです。
普通預金口座へ預入するよりも、解約するよりもずっとお得な方法ですね。
2.定期預金の種類
定期預金貸付制度を利用するためには、手続きが必要な場合とそうでない場合があります。
それは、預け入れしている定期預金の種類がどの様なものなのかで違ってくるのです。そこで、まずは定期預金の種類にはどのようなものがあるのかについて見ていきましょう。
定期預金は大きく分けて、通帳式・証書式があります。さらに通帳式は定期預金通帳と総合口座通帳に分けることが出来ます。これらの種類は定期預金を作る際に自由に選択することが出来ます。
証書式とは
証書式というのは一つの定期預金に対し1枚の証書が発行される形式のものです。定期預金が増えると同時に証書の枚数も増えていく仕組みです。一番わかりやすい方法でしょう。
定期預金通帳式とは
全ての定期預金を1冊の通帳で管理する方法です。それぞれの定期ごとに預金額や満期日などが記載されています。証書のように定期が増えるごとに数が増えるわけではなく、通帳1冊だけで管理ができるというところが利点です。
総合口座通帳
定期預金専用の通帳ではなく、定期預金と同時に普通預金も管理することが出来る総合的な通帳です。預金ごとに通帳を分ける必要がなく1冊で全てを管理出来るので、便利です。
証書式は1枚に1つの定期の内容だけが記載されていますので、ご年配の方にもわかりやすく管理もしやすいという利点がありますが、何枚もの証書を所持していなければならないというデメリット部分もあります。
それに比べ、通帳式だと1冊で全てを管理することが出来るので便利ではありますが、今現在どの定期がどの様になっているのか、という点がわかりづらくなるとも言われています。
しかし、通帳式にするとその1冊を銀行に持っていくだけで手続きもスムーズに進めることが出来るため、最近では通帳式の定期預金に人気が集まっている傾向にあります。
定期預金貸付制度を利用する際は、総合口座通帳式を利用しているとさらに便利となるでしょう。
3.定期預金貸付制度を利用するための手続き方法
証書式なのか、通帳式なのか、通帳式なのであれば定期預金通帳式なのか総合口座通帳式なのかによって貸付制度の利用方法が違ってきます。
証書式、定期預金通帳式の場合
銀行窓口へ行き手続きする必要があります。証書や定期は担保として預け、必要書類に記入し、届出印を押して初めて融資してもらうことが出来るのです。
大金を一度に借り入れる時は、先に電話連絡が必要になる場合もあります。
他のカードローンやフリーローン等の様な審査はなく、手続きとしてはそれほど面倒ではありませんが、金融機関へ出向かなければならないと言うのは、平日働いている会社員やOLの方にとっては困りますね。
また、返済日や返済回数なども決められてしまうので、少し不便です。
総合口座通帳式
面倒な手続きは一切ありません。
総合口座通帳には貸越機能(自動的に定期預金担保貸付を行える機能)が付加されていますので、普通預金口座から出金した際、普通預金の残高が足りないと、自動的に定期預金の90%までお金を引き出すことが出来るのです。
返済日にも決まりがありません。普通預金口座に入金すると自動的に返済分とみなしてくれますので、自分の都合のいい時に入金することができます。
全額返済が終了した時点で、借り入れていた期間分の利息が引き落とされる仕組みとなっています。
4.定期預金担保貸付制度の内容
定期預金の金利+0.5%
<限度額>
定期預金の90%、もしくは200万円のいずれか少ない方
※ゆうちょ銀行は「定期預金の90%、もしくは300万円のいずれか少ない方」です。
<貸付期間>
定期預金の満期日まで
※総合口座通帳を利用し、定期預金を自動継続としている場合には、貸付期間の設定はありません。
定期預金担保貸付制度のメリット
低金利
平均的な定期預金金利は0.025%程度ですので、貸付制度を利用してもたったの0.525%(0.025%+0.5%)です。消費者金融の18%などとは比べ物にならないほどの低金利ですね。
大手銀行で取り扱っているカードローンなどの最低金利でも4%~5%となります。比べると定期預金担保貸付がいかに低金利かという事がわかりますね。
定期預金を解約せずに済む
定期預金は普通預金よりも高金利でお得な商品です。出来れば満期まで預け、預けた期間分の利息をきちんと受け取りたいものですね。貸付制度を利用できると、解約せずに現金を引き出すことが出来るので、満期には預けた期間分の利息をしっかり受け取ることが出来ます。
また、定期預金を作り期日まで預け続けることで、銀行側とも信頼関係を結ぶことができます。中途解約をしてしまうと、せっかく作り上げた信頼関係を失くしてしまう危険性もあるのです。
貸付制度であれば、信用を失うこともなく、急な出費に対応することが出来ます。
定期預金担保貸付制度のデメリット
知らず知らずのうちに貸越
証書式の場合は手続きが必要なので知らないうちに貸越になってしまうと言うことはありませんが、総合口座通帳を持っている場合は、貸付制度を利用するつもりがなくても、普通預金の口座が残高不足になってしまうと自動的に借り入れする形になってしまいます。
例えば、残高があると思っていたけれど思わぬ引き落としがあり、公共料金などの引き落とし分が足りなくなってしまっていた、などと言うときに、自分の知らない間に貸越となってしまうのです。
もちろん、大切な引き落としができない状態を避けると言うメリットはありますが、記帳するまでその事実に気づかず、思わぬ利息を支払うことになってしまったというケースも多くあります。定期的に記帳するなど、きちんとした自己管理が必要になります。
紛失した際のリスク
こちらも総合通帳を持っている場合に限りますが、万が一紛失してしまったり盗難にあってしまった場合、定期預金担保貸付制度を利用して限度額ギリギリまで引きだされてしまう危険性があります。
証書式よりも便利な部分が多い総合口座ですが、リスクが高いと言うデメリット部分があるのです。
解約した方がお得かも?
短期の借り入れであれば、解約するよりも一時的に貸付制度を利用した方がお得ですが、借り入れが長期的になってしまうのであれば、解約した方がお得になる場合もあります。
どれくらいの期間で返済が可能になるのか、先に確認し、利息計算もした上で、メリットが高い手続きを考えることも大切です。
勿論、ローンとしてはとても良心的な内容であるため、他の様々な貸付制度よりもお勧めしたいものとなりますが、少なからず利息を支払わなければなりませんので、先にお金が必要になることがわかっている場合は定期預金を作らずに現金を残しておいた方がお得でしょう。
また、急な出費がありそうな時期を見越して(結婚資金、出産費用、子供の学費など)その時期に満期日が来るよう設定することも大切です。
しかし、この様な貸付制度があると言うことがわかっていると、これまで定期預金を利用していなかった方でも少し肩の力を抜いて利用しやすくなるのではないでしょうか。
貸付制度も定期預金も上手に活用し、資産運用に役立てられるといいですね。