リフォームローンとは
住宅をリフォームするとき、ほとんどの人はお金を借りることを検討するのではないでしょうか。その選択肢として浮かぶのが「ローン」です。ローンには、車を買うときに使えるマイカーローン、多目的に使えるフリーローンなど用途によってさまざまな種類があります。
住宅をリフォームしたいときに使えるローンには、主に、新築購入時などに組む通常の住宅ローンとリフォームのみを使途とするリフォームローンがあります。この記事では、リフォームローンとはどのようなものなのか解説していきます。
リフォームローンとは?住宅ローンとの違いは?
リフォームローンは住宅ローンの一種ですが、用途がリフォームに限られています。
リフォームと一言でいっても、キッチンやトイレの改装や部屋の増設といった一般的にイメージしやすいリフォームだけでなく、造園や車庫の設置、耐震工事やバリアフリー化、太陽光パネルなどの設置…と幅広い目的でリフォームローンを組むことが可能になっています。
新築購入時に契約する通常の住宅ローンは、リフォームローンと比較すると、借入可能金額が多いこと、金利が低いこと、返済期間が長くとれることなどのメリットがありますが、反対に審査が厳しく融資までに1ヶ月程度の長い時間がかかること、抵当権の設定が必要なこと、団体信用生命保険への加入が必須なことなど様々な条件や制約があります。
また、保証料の支払いや手続きに対して支払う費用も多くなるといったデメリットもあります。
リフォームローンは、通常の住宅ローンに比べて金利が高かったり、返済期間が短めであったり、借入可能な金額が少くなったりすることもあります。
しかし、少額から借り入れが可能なこと、審査から融資までが長くて2週間程度と住宅ローンに比べてスピーディーであったり、抵当権の設定や保証料が不要であったりというメリットもあります。
また、必要書類が少ないなど手続きが比較的簡単であることから住宅ローンではなくリフォームローンを利用する人もたくさんいます。
リフォームローンの種類
リフォームローンには、中古住宅購入時に住宅購入費用とリフォーム代金を一緒に借りられるリフォーム一体型住宅ローンというものもありますが、ここではすでに住宅をもっていてリフォームをするという方向けの通常のリフォームローンの種類についてご説明します。
リフォームローンとひとことでいっても、大きく分けて担保型と無担保型の2種類があるのです。
同じリフォームローンという括りではあるものの、担保型と無担保型では借入金額、返済期間、金利、審査、抵当権設定の有無などの点で違いがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
無担保型のリフォームローンの特徴
無担保型のリフォームローンは、担保を必要としないリフォームローンです。担保とは、簡単にいうと万が一お金が返せなくなったときに差し出すもののことです。無担保型のリフォームローンのメリットは、少額から借り入れができ、抵当権の設定の必要がないことなどが挙げられます。
また、審査から借り入れまでの期間が担保型よりも早いというメリットもあります。ただし、借入可能金額は担保型よりも少なくなること、返済期間が短いこと、金利が高めなことがデメリットとして挙げられます。
担保型のリフォームローンの特徴
担保型のリフォームローンは、無担保のリフォームローンに比べると一般的に、借入可能な金額が大きいこと、返済期間が長いこと、金利が低いことがメリットとして挙げられます。
「担保型のリフォームローンのほうがいいことづくめ!」と思うかもしれませんが、新築購入時の住宅ローンのように抵当権の設定が必要なこと、必要な書類や費用が無担保型よりも多くなること、審査に時間がかかることがデメリットとして挙げられます。
また、審査が無担保型のリフォームローンよりやや厳しくなる可能性もあります。さらに、万が一返済できなくなったときは当然ですが担保にしているもの(自宅など)を失うリスクもあります。
無担保のリフォームローンよりは、メリット・デメリットともに新築購入時に組む通常の住宅ローンに近いイメージです。
リフォームローンはどこで借りることができるの?
リフォームローンは、都市銀行、地方銀行、信用金庫、労働金庫などの民間の金融機関から直接借りることが一般的です。
他にも、勤務先に財形貯蓄制度があれば財形持家転貸融資を受けることができる可能性があります。
財形持家転貸融資は、財形貯蓄を行っている勤労者が事業主を通じて、長期・低利で融資を受けることができる住宅ローンです。
財形とは勤労者財産形成貯蓄制度のことで、毎月の給与から天引きでお金を貯めていきます。会社役員や自営業者にはない制度で、会社に雇われて働いている人や公務員が対象の制度です。
財形貯蓄制度は勤務先が金融機関と提携している必要があるので、その制度のない会社では利用できません。
また、会社によって提携している金融機関も異なります。財形貯蓄制度は、正社員だけでなく契約社員やパートなどでも利用できる場合があります。
財形持家転貸融資を受けるためには、財形貯蓄を1年以上行っておりかつ残高が50万円以上あるということが条件になります。
リフォームローンの金利にはどんな種類があるの?
ローンを借りるときに気になるのが金利ですよね。お金を借りるときには借りたお金と利息を支払います。借りている額に対して支払う利息の割合が金利です。リフォームローンには返済期間中に金利が見直されるタイミングごとに3つのタイプに分けられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
全期間固定金利タイプ
リフォームローンを契約する時点で金利が固定されます。全期間固定金利には、期間中はずっと一律の金利であるタイプと、期間の途中で金利が上がる段階金利型というタイプがあります。段階金利型であっても、契約するときに上がったあとの金利は○%と決められているため、返済の計算がしやすいのが特徴です。
また、もし金利が上昇しても、契約時に固定した金利から上がることはないので安心感がありますが、次に紹介する金利が変動するタイプよりも金利は高めに設定されています。
変動金利タイプ
変動金利タイプは1年に2回金利が見直されます。固定金利タイプよりも金利が低く設定されているものの、金利変動の影響を直接受けることになるため、金利が上昇する可能性もあります。
もし、急激な金利の上昇が起こっても返済者が困らないように、一般的には毎回の返済額を5年は一定にしており、かつ改定後の返済額は前の返済額の1.25倍以内になるようルールが決められています。
しかし、5年の間に金利上昇が続くと、未払いの利息が発生し、本来であれば元本を減らすのに充てられていたぶんの返済も利息を払う方に優先されてしまい元本が減らず返済の計画が崩れてしまうという事態が起こりえます。
固定金利選択タイプ
固定金利選択タイプは、借入時から一定期間の金利が固定されるタイプです。たとえば、借り入れから2年、3年、5年、10年、15年といった期間があります。
固定期間が終了すると、その後は変動金利タイプやまた固定金利選択タイプを選ぶことができます。
固定金利にする期間が短いほど金利は安くなり、全期間固定金利タイプと変動金利タイプのいいとこ取りのような気もしますが、金利が大幅に上昇しても返済額の上限が設定されていないなど救済措置がないというリスクがあります。
低金利でも保証料や諸費用に要注意
実際の金利は、リフォームローンを提供している金融機関によって異なります。中には1%を切るような低金利を提示している金融機関もあります。多額のお金を借りるとなるとたった1%金利が違うだけで総支払額が大きく変わってきますので、金利は低いに越したことはありません。
しかし、低金利のリフォームローンを契約する前に注意してほしいことがあります。それは、保証料です。保証料とは、リフォームローンを契約する際、保証会社に支払う手数料のことです。
保証会社に手数料を払うことで、保証人をたてる必要がなくなります。リフォームローンでは、保証料込みの金利設定にしている金融機関と、保証料を別で支払わなければならない金融機関があります。
保証料込の金利設定にしている金融機関も多いようですが、保証料を別途支払う必要がある金融機関でリフォームローンを組んだ場合、金利自体はとても低く設定されていて一見とてもお得にみえていても実際は保証料を払うことで金利1~2%程度を上乗せするくらいの金額を払うことになる場合もあります。
また、保証料以外にも事務手数料といった諸費用を頭にいれておかなくてはいけません。せっかく金利が低くても、事務手数料が高くては結果的に支払総額が高くなってしまう場合もあります。
とくに、多額のお金を借りる場合で事務手数料が借り入れ金額の○%と設定されているような場合は実際に事務手数料がいくらかかるのかを計算してみることをおすすめします。
特定の条件で金利がお得になることもある
リフォームローンを借りるときは、なるべく低い金利の金融機関をいくつか候補に挙げて比較する人も多いでしょう。
金融機関の中には、特定の条件で金利を下げてくれる優遇措置をとっているところもあるので、優遇措置に当てはまるかどうかまで考えてみると、優遇措置なしで借りるよりもお得に借りることができるかもしれません。
よくある優遇措置としては、
・その金融機関の口座を持っている
・その金融機関でカードローンや住宅ローンを借りている
といった金融機関の利用状況による優遇措置や、
・耐震化のためのリフォーム
・エコ器具の設置のためのリフォーム
・バリアフリー化のためのリフォーム
といったリフォーム内容による優遇措置があります。
また、労働金庫に出資している団体会員の構成員や生協組合の会員やその家族などの条件で金利が優遇されることもありますので、自分や家族が該当しないか確認してみましょう。
リフォームローンを申し込む時の流れ
リフォームローンの借り入れを申し込んだからといってすぐに融資を受けられるわけではありません。リフォームローンの融資を受けるためには、仮審査と本審査の2つの審査をクリアしなければならないのです。
申し込みの一般的な流れとしては、まず仮審査の申し込みをします。仮審査の申し込みはホームページなどの仮審査申し込みフォームに必要事項を入力するだけで行うことができます。
他にも、電話やFAXで仮審査の申し込を受け付けているところもあります。仮審査の結果は、早いところであればその日のうちにメールなどで届きます。この仮審査を通過したからといって必ず融資が受けられるとは限りません。
仮審査通過後に正式な申し込みをして本審査を受け、承認されれば融資を受けることができます。仮審査通過後の申し込み、本審査、融資開始までは金融機関によりかかる時間や手続きの方法に若干違いがあります。
仮審査通過後は必要書類を持って来店して本審査を受けるパターンや、仮審査通過後に郵送などで必要書類を提出し本審査を受けるパターンがあります。
いずれにしろ、正式に申し込みを行うときには必要書類を提出しなくてはなりませんので、余裕を持って準備ておきたいですね。仮審査の結果は2~3ヶ月程度有効な場合もありますが、仮審査から正式な申し込みまでの期間が空いてしまうと、もう一度仮審査をやり直す必要がでてきてしまいます。
リフォームローンの審査項目は?
リフォームローンの審査の項目は通常の住宅ローンとほぼ同じといわれています。ただし、審査については通常の住宅ローンを借りるよりもリフォームローンを借りるときのほうがやさしくなっているようです。
それは、すでに家を持っているという社会的な信用があり、有担保型のリフォームローンでは家を担保にできるといった背景があることが審査に影響しているからだと考えられます。
とはいえ、誰にでも融資をしてくれるわけではありません。リフォームローンの審査には、どのような項目があるのでしょうか。
平成26年3月 に国土交通省住宅局がまとめた「平成25年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」には住宅ローンの審査項目が記載されています。その中でも多くの金融機関が採用している審査項目を参考までにご紹介します。
・完済時年齢(99.1%)…完済時の年齢が80歳未満としている金融機関が多いです。
・借入時年齢(97.5%)…その他としている金融機関が多いものの、65歳未満と回答している金融機関がついで多く、65歳という年齢がひとつの目安になりそうです。
・返済負担率(97.2%)…返済負担率とは、年収に対する年間返済額(元金+利息)の割合のことです。45%以内と回答している金融機関が多いです。
・勤続年数(96.5%)…1~3年以上がひとつの基準になりそうです。
・年収(96.2%)…借りる金額にもよりますが、リフォームローンであれば150万円以上が目安になりそうです。
・担保評価(96.2%)…担保評価とは自宅など担保として設定する不動産にどのくらいの価値があるかという評価のことです。 無担保型リフォームローンでは関係ない項目ですが、有担保型リフォームローンでは審査項目に入るかもしれません。
・健康状態(94.8%)…団体信用生命保険加入できる健康状態かどうかがひとつの目安になるようです。
・金融機関の営業エリア(90.7%)…金融機関の営業エリア内に住んでいるかどうかということが重視されるようです。営業エリア内に住居がなくても勤務先が営業エリア内ならOKとしている金融機関もあります。
・連帯保証(90.7%)…保証会社の保証を受けられるということが必要なようです。
住宅ローンの場合、上記のような審査項目を9割以上の金融機関が採用しています。上記以外にも、他の債務状況や返済履歴、雇用形態なども審査項目にしているところも多いようです。
リフォームローンの場合はもう少し審査項目が少なかったり、審査の基準が緩やかだとは思いますが、金融機関側は貸したお金をきちんと返す能力があるかどうかを判定するために年齢や年収といった項目は重視されると考えられます。
リフォームローンを借りるための必要書類
リフォームローンを借りるために必要な書類は金融機関ごとに異なります。また、無担保型のリフォームローンよりも有担保型のリフォームローンのほうが必要書類が多くなりますので書類の準備も余裕を持ってすすめていきたいところです。
無担保型のリフォームローンの場合に必要な書類は
・運転免許証など本人を確認できる書類
・リフォームの見積書など使途がわかる書類
・源泉徴収票や確定申告書など収入がわかる書類
などが必要になります。ほかにも勤続年数が確認できる書類などが必要になることもあります。
有担保型のリフォームローンの場合はさらに
・登記簿謄本
・住宅ローンなどの返済状況確認資料
・印鑑証明書
・住民票謄本
などの書類が必要になることもあるので、予め必要になる書類や書類の入手先や取得にかかる費用や期間などもチェックしておくと仮審査通過後に慌てずに済みます。
リフォームローンとは「まとめ」
いかがでしたか?リフォームローンとは一体どのようなものなのか全体像を掴むことができたでしょうか。最後に簡単にリフォームローンについておさらいしておきましょう。
・有担保型と無担保型のリフォームローンがある
・住宅ローンと比較するとリフォームローンのメリットは、手続きや審査が易しく融資がスピーディー
・住宅ローンと比較したリフォームローンのデメリットは、借入可能金額が少く金利が高めで返済期間が短い
・リフォームローンの本審査を受けたり契約をする前には仮審査を通過する必要がある
・リフォームローンの金利タイプには、「全期間固定金利タイプ」「変動金利タイプ」「固定金利選択タイプ」の3種類がある。
リフォームをするとき、住宅ローンにするのかリフォームローンにするのか、有担保型か無担保型か、金利のタイプはどうするのか、どこで借りるのか…とたくさん選択しなければなりませんが、それぞれのメリットやデメリットを整理することで自分に合った選択ができるかもしれません。