マイカーローンの選び方

車を購入する際に、ディーラーが勧めるままクレジット契約を結ぶ方は少なくないでしょう。しかしマイカーローンの選択肢はひとつだけではありません。

様々な金融機関が特色のあるマイカーローンを取り扱っており、その選び方次第では支払い方や支払う金額にかなりの差が出てくるのをご存知でしょうか?

車は額の大きな買い物です。それだけに、ローンも慎重に決めるべき。後になってから「そんなの知らなかった!」ということのないように、事前にしっかり情報収集して進めていきましょう。

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クレジットとローンには違いがあるの?

同一視されがちなのですが、クレジットとローンには違いがあります。まずはどのような点が異なっているのか、簡単におさらいしておきましょう。

クレジット

車の購入者との契約を結んだ信販会社(クレジット会社)が自動車ディーラーに一括で代金を支払い、購入者は信販会社に月賦でお金を返していくという図式です。

車の購入の場合、ディーラーの系列会社、または提携している信販会社が提示されることがほとんどで、そのまま審査から契約という運びになるため、手続きが非常にスムーズに進むのが特徴です。

ローン

車の購入者は金融機関からお金を借り、そのお金でディーラーに代金を支払います。購入者は金融機関に、借りたお金を月々返済していきます。

この場合には自動車ディーラーと金融機関の間には提携関係などがありませんので、購入者が自分で契約を交わす金融機関を見つけ、手続きを進める必要があります。クレジットで購入する場合に比べて手間のかかる方法ではありますが、場合によってはクレジットよりも有利な条件で借りることが可能です。

このようにクレジットとローンは本来違うものなのですが、契約内容に沿って毎月返済していくことには変わりありません。ここでは車を購入する際にディーラーで結ぶクレジット契約についても含め、「マイカーローン」として比較検討していくことにします。

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マイカーローン選び9つのポイント

本記事の冒頭で「事前にしっかり情報収集して」と書きましたが、実はクレジットの場合、どういう条件での貸付になるのかなどの情報がほとんど出てきません。つまり、さあ契約という段階にならないと何%の金利で借りられるのかが全くわからないということなのです。

ですので、先に各金融機関のマイカーローンの詳細をチェックしておき、そのうえでディーラーにお出かけになることをお勧めします。そうしておけば、クレジット契約の条件がわかったときにスムーズに内容を比較することができます。

では、ぜひここはチェックしておきたいというポイントを見ていきましょう。

1.金利

まず注目したいのが金利です。単純に、金利が高ければ支払額が大きくなりますし、低ければ少なくなります。

多少の金利の違いでそんなに支払額が変わってくるの?という方もいらっしゃるかもしれませんので、ここはひとつの例として、100万円を3年で返済する場合、金利が3%と8%ではどれだけ返済額が違ってくるのかを計算してみましょう。

借入金額:100万円
返済期間:36ヶ月
返済方式:元利均等方式

金利 3.00% 8.00%
月々の返済額 29,081円 31,336円
返済総額 1,046,904円 1,128,091円
支払利息 46,904円 128,091円

いかがでしょうか。支払利息は実に8万円以上の差になりました。月々にしても2,000円以上の違い。利息だけでこれは結構大きいですよね。

ちなみに3%前後というのは銀行のマイカーローンで、8%前後というのはクレジットでよく見かける例です。今回は100万円の借入で計算しましたが、これがもし200万円、300万円……だったらどうなるでしょう? かなり笑えない額の差になってしまいます。

また、もしもその銀行を普段からよく利用していて、給料の受取口座があったり住宅ローンを利用していたりすると、さらに金利の優遇を受けられる可能性があります。

場合によっては2%を切る金利を実現していることもあるので、こういうローンを利用できるならかなり費用を抑えることができますね。

「それなら金利の一番低い銀行のローンに決めましょう!」と言いたいところですが、しかしなかなかそうも行かないのが難しいところです。なぜなら、ローンの取扱機関によって、審査基準に違いがあるからです。

審査基準と金利の関係

とても単純な話です。銀行のように金利が低いローンだと審査が厳しくなりますし、用途が自由なカードローンのように金利が高いローンだと審査が柔軟になります。

これまでのデータと照らし合わせ、金融機関が「この人は間違いなく返済するだろう」と判断すれば、低い金利で大きな金額まで借りられますし、逆に「リスクがあるのでは」と判断されれば高い金利で少額しか借りられないというわけです。金融機関も損はしたくないので、こればかりは仕方のないことかもしれません。

ごく一般的な審査の難易度と金利のと関係を図に表すと、こういうことになるでしょうか。

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もちろんひと言で銀行と言っても都市銀行、地方銀行、ネット銀行と様々なタイプのものがあり、それぞれの商品に対して審査基準が明らかにされているわけではありませんので一概には言えません。ただ、最も厳しいと言われる都市銀行や地方銀行の場合、

・正社員で3~5年以上働いている
・税込年収200万円以上
・安定した年収がある(年金収入のみは不可)
・申込時の満年齢が20才以上65歳以下

などの前提条件があり、さらには当該金融機関の口座がある、給料振込みに使用しているなどを加味して審査されると言われています。高収入でも安定していない自営業や自由業、水商売の方、アルバイトの方等だと難しいということもあるようです。

一度にたくさんのマイカーローンにお試しで申し込み、審査に通ったものから一番金利の低いものを選ぶ、という方法が取れたらいいのですが、「いくつも融資の申し込みをした」という事実が記録として残るため、後々他のローンの申し込みをしたり、カードを作りたいなと思った場合の審査で不利に働く恐れがあります。

また、あるマイカーローンの審査に通らなかったからと言って次々別のものに申し込むのもあまり良いことではありません。複数の審査に立て続けに落ちたとなると、各金融機関が共有する信用情報に傷がつきます。

どこの金融機関も、他社がNGを出した人にお金を貸すのは二の足を踏んでしまうので、審査にさらに通りにくくなってしまうのです。そのため、2社の審査に落ちたとしたら、3社目に申し込むのは情報が消える半年を過ぎてからにしたほうが良いとされています。

このように、できれば金利の低い銀行のマイカーローンを狙いたいところですが、審査の厳しさとの兼ね合いが考えどころになると言えるでしょう。

限度額にも注意を

金利に関してはもうひとつ、下限金利と上限金利、限度額との関係も見ておくべきでしょう。例えばこのような条件のローンがあったとします。

A社:2.70%~3.80%(限度額1000万円まで)
B社:1.60%~14.5%(限度額800万円まで)

下限金利を見るとA社が2.7%、B社が1.6%なので、「B社の方がお得!」と飛びつくのはちょっと待ってください。あなたが希望する融資額はおいくらですか?

下限金利の適用となるのは限度額に近い、高額を借りたときに限られるのです。あなたが何%の金利で借りられるのかは金融機関の判断によるため、実際のところは審査を受けてみなければわかりませんが、もしあなたが必要とする融資額が100万円程度であるとすれば、上限に近い金利が適用されることになると考えられます。

では上限金利を見てみましょう。A社は3.8%、B社は14.5%です。ですので、100万円を借りるのならA社の金利の方が低くなるだろうと推察できます。

このように、単にひとつの数字を見るだけで判断するのは危険です。じっくり商品内容を比較検討してみることが必要なのです。

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2.固定金利型か変動金利型か

マイカーローンの金利には「固定金利型」と「変動金利型」の2種類があります。ディーラーのクレジットではほとんどが固定金利型、銀行のマイカーローンでは変動金利型を採用しているものが比較的多く見られます。

固定金利型の場合、契約期間中、金利がずっと一定になっています。変動金利型に比べると高めの金利設定になっていることが多いのですが、変動がないために返済計画が立てやすいという利点があります。不安を抱えることなく返済していけるのも良い点です。

一方の変動金利型はインフレ、デフレなど市場の状況により、半年~1年ごとに金利が見直されるというものです。

元は固定金利型よりも低めの金利設定となっているものが多いのですが、もしも金利が上昇した場合には、当初の予定よりも多く返済しなければなりません。ある程度のリスクを抱えながら返済していかなければならないというわけです。

この固定金利型と変動金利型、どちらが良いと考えるかは人によりますが、一般的にはマイカーローンでは変動金利型を選ぶ方が多いようです。

完済までに長くかかる住宅ローンなら、確かに景気の変動などによる金利上昇のリスクは大いに心配されます。しかしほとんどの場合3年~5年で終わるマイカーローンであれば、金利の変動があってもさほど大きいものではないだろうとも考えられます。実際のところ、ここしばらく金利が大きく変動した例はありません。

また仮に多少の変動があっても、元の金利が低いわけですから、固定金利型よりは有利な金利のままで推移する可能性も高いでしょう。借入残高が小さければ変動してもさほど大きなダメージはないとも考えられるのです。

やはりポイントは「返済期間」と「借入金額」ということになります。返済期間が5年以上と長い場合、もしくは高額融資を受ける場合には固定金利型を考え、返済期間が5年以下の場合には変動金利型をベースにお考えになるといいでしょう。

3.返済方式は?

返済方式には「元利均等方式」「元金均等方式」「アドオン方式」と呼ばれるものがあります。これらは同じ「金利○%」と言っても支払い計算が異なっていることから、月々の返済額や最終的な総返済額の違いに関わってくることになります。しっかり理解しておきましょう。

元利均等方式

ローンの返済を行うとき、通常、元金の返済分と利息分を足したものを支払います。この利息分が金融業者の利益になるわけですが、元利均等方式では「元金+利息」が一定の金額になる形で返済していきます。マイカーローンのほかには住宅ローンで主流となっている返済方式です。

毎月の支払額が一定であるだけに非常にわかりやすく支払いやすい方式ですが、最初のうちは利息分の占める割合が大きく、なかなか元金が減っていきません。その結果、支払わなければならない金額が元金均等方式よりも大きくなってしまうのが難点です。

元金均等方式

元金均等方式は、文字通り元金の返済額を均等にし、それにプラスして利息分を支払う方式です。最初のうちは利息分を多く支払わなければならないため、負担が大きくなります。それに加え、月々の支払額が異なるがゆえに返済計画が立てにくくなるのが難点です。

ただ、元金がどんどん減っていくため、先に進むにつれて利息分が減り、返済にゆとりが出てきます。総支払額も元利均等方式に比べて少なくて済みます。最初の頃の支払額の多さが苦にならなければ、こちらを選んだほうがお得になります。

アドオン方式

要注意なのがこのアドオン方式です。アドオン方式は単純に元金に金利を掛けたものを元金と足し、これを支払回数で割ると毎月の支払額が出てきます。仮に100万円を2%の金利で借り、20回で返済するとしましょう。

支払利息:100万円x0.02=2万円
総返済額:100万円+2万=102万円
よって毎月の返済金額は:102万円÷20回=51,000円

元利均等方式や元金均等方式だと非常に難しい計算をしなければ月々の支払額は出てきませんが、このようにアドオン方式は非常に簡単です。わかりやすさが最大の利点だと言えるでしょう。

しかし、元利均等方式と元金均等方式は、支払うにつれて元金が減っていく(それにかかる利息が減っていく)ことを考慮して計算されている反面、こちらは最初に借りた金額を元に利息を計算しています。つまり同じ金利であればアドオン方式のほうが支払利息が高くなってしまうのです。

ちなみに同じ条件のもと、元利均等返済で計算すると、総返済額は101万7,592円になります。返済回数によってはこの差はさらに開く可能性があります。金利が低い!と飛びついたら実はアドオン方式で、結局利息が高くついてしまったということも十分有り得るわけです。

このような紛らわしさを避けるため、アドオン方式の場合には返済によって利息も減る通常の計算方式なら何%の金利に相当するのか(実質年率)を併記する決まりになっています。

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4.保証料や手数料は別途必要?

元金と利息だけがローンの返済に必要なお金ではないことがあります。そのほかに、保証料や手数料が発生するケースがあるのです。この保証料、手数料とはどういったものなのでしょうか。

マイカーローンの保証料とは?

多くのマイカーローンでは保証人を必要としません。でも保証人がいないということは、返済の滞りがそのまま金融業者の損に繋がってしまいます。そこで保証人の代わりに保証会社と契約し、万一の場合には保証会社が代位弁済(購入者に代わっての融資残金や利息、損害金の支払い)を行うことでリスクを回避しているのです。

保証料はその契約に必要となる費用を指します。ちなみに審査=銀行など融資する会社の審査だと思われがちですが、実際には保証会社でも審査を行っています。保証会社の審査に通らなければ、金融業者の審査に通ることはまずありません。

マイカーローンの保証料は金融機関が負担するケース、金利にすでに組み込まれているケース、別途必要なケースがあります。問題になるのが別途必要になるケース。いくらかかるのか、支払いは一括なのかそれとも毎月の支払いに上乗せするのかなどあらかじめ確認しておかなければなりません。

手数料とは?

マイカーローンの手数料はほとんどが事務手数料です。収入印紙代や印鑑証明の発行にかかる代金、振込手数料など。ひとつひとつはそれほど大きな額ではありませんが、やはり少なければ少ないほど有り難いものではあります。

この手数料も、不要または金利の中に含まれているケースと別途必要なケースがあります。こちらもしっかり確認しておきましょう。

出資金が必要になる場合も

JAやろうきんのマイカーローンは、場合によっては出資金が必要になるものがあります。JAやろうきん、信用金庫などのマイカーローンの内容やご利用資格については居住または勤務されているエリアによって異なるので、ご検討の方はお近くのJAなどに直接ご確認ください。

このように、せっかく低金利のローンを契約したつもりだったのに、このようなプラス分の費用が嵩むことで、トータルでは高くついてしまっていたということは意外と多くあるものです。

ローンの広告を見るとたいてい金利は大きな文字で書かれているのですが、保証料や手数料が必要だということはとても小さな文字で(目立たないように?)書かれていることが少なくありません。うっかり見逃すことのないように、ぜひしっかりと内容をチェックするようにしてください。

5.オプション代金にもローンを使える?

自動車を購入する際、タイヤやマフラー、カーナビなどを一緒に購入することも少なくないのではないでしょうか。もしもそうした予定があり、その費用もローンで賄いたいのなら、車の購入資金以外の使いみちにも対応しているマイカーローンを選ぶ必要があります。

傾向としてはディーラーのクレジットでは車の購入費用のみ、銀行などのマイカーローンではオプション費用にも対応しているものが多いようです。ただし商品によっても異なりますので、こちらも必ず事前に確認しておくようにしましょう。

6.支払日はいつ?

マイカーローンの返済は指定口座からの自動引き落としというケースがほとんどですが、何日に引き落としになるのかは金融機関によってまちまちです。

指定口座に常に十分な残高がある状態であれば問題はないのですが、そうでない場合には要注意。毎月の引き落とし日が給料日前に来るのでは普段からの金銭管理が大変ですし、気持ちの面でも大きなプレッシャーになってしまいます。

給料日後から近いタイミングで引き落とし日が来るものを選べばこうした問題を解決することができます。給料日前に支払うお金がない!と慌てることもありません。意外と見逃されがちなのですが、引き落とし日の確認も重要です。

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7.契約までにかかる時間と手間は?

とにかくスピードと手間のかからなさを重視したいのであれば、ディーラーでのクレジット契約一択でしょう。当日にも審査結果がわかりますし、そうなれば車の購入と一緒に手続きを済ませてしまうことができます。面倒な手間もなく、とても楽な方法です。

一方、銀行などのローンは自分で選び、手続きする必要があります。必要書類を揃え、窓口に通わなければならないケースもあります。審査結果がわかり、手続き完了を経て融資を受けるまでに1~2週間かかってしまうことも珍しくありません。

ただ、最近は銀行などのローンでもネットで完結するものが増えてきています。窓口に足を運ぶ必要はありませんので深夜でも手続きが進められるとなれば、負担もかなり軽減できるでしょう。

また、ディーラーでのクレジット契約は車種を決定してからの話になりますが、銀行などのマイカーローンの中には購入する車種や必要な金額が具体的に決まらないうちに申し込めるものもあります。あらかじめ審査を受けておけばその後の手続きがスムーズに進みますので、こうしたローンを選ぶのもひとつの方法です。

※審査だけ受けて本契約を結ばない段階であればキャンセルは可能ですが、本契約を結んだ後のキャンセルは違約金が発生するうえに信用情報にも記録されてしまいます。記録は半年程度残り、他のローンの審査にも影響する可能性がありますので、注意しましょう。

8.自動車の所有権は?

ディーラーのクレジットで車を購入した場合、車の所有権は購入者ではなく、ディーラーや信販会社のものになります。これを所有権留保といいます。受けた融資を完済したところで、初めて所有権が購入者のものになるのです。

車の所有権が購入者にないということは、何を意味するのでしょうか。

・車を自由に売買することができない。
自分の車でない状態なのですから、これは当然といえば当然のことですね。

・支払いが滞った場合に車を引き上げられてしまう。
車が担保というわけです。そのまま支払いできない状態が続けば車は売却され、未払い残高の補填に充てられます。

一方、銀行やJAなどのマイカーローンで車を購入した場合には、車の所有権は最初から購入した人のものになります。車を自由に乗り換えたい、自分のものとして楽しみたいという場合には、ディーラーのクレジットでの購入は避けたほうが良いでしょう。

9.繰り上げ返済は可能か?

マイカーローンを選ぶ際には一部繰り上げ返済や一括返済は可能なのか、もし可能であれば手数料が必要なのか、必要であればどの程度の金額になるのかを確かめておきましょう。

マイカーローンの繰り上げ返済は支払利息を節約できますが、手数料が加算されることで全く得にならないケースも珍しくありません。しかし中には手数料がかからないローンもあります。例えば三菱UFJ銀行のネットDEマイカーローンのように、インターネットで手続きすれば手数料が無料になるような商品もあります。

今は繰り上げ返済を考えていなくても、完済までには数年間あり、ライフスタイルの変化などによって将来的に繰り上げ返済を考えるようになることも有り得ます。

事前に確認しておくのはもちろんのこと、可能性が高い方は最初から手数料のかからないローンを選んでおくのが得策です。また、アドオン方式のローンも繰り上げ返済による支払利息の節約はほぼできないので、こちらの商品は選択肢から外しておいた方がいいでしょう。

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もうひとつの選択、残価設定ローンとは?

このところ自動車メーカーやディーラーが「車の新しい買い方」として盛んに勧めているローンがあります。それが「残価設定ローン」です。「残価設定型クレジット」「残クレ」などと呼ばれることもあります。CMなどでご覧になったことのある方も多いのではないでしょうか。

残価設定ローンとは、ローン完済時の推定価格分(3年後、5年後の下取り価格)を据え置き、その分を差し引いた金額を分割で返済していくというもの。元々は新車を購入して定期的に乗り換える方のために生まれたローンです。

もう少し具体的に説明してみましょう。

200万円の車を3年(36回)払いの残価設定ローンで支払っていきます。3年後の下取り価格は80万円になると推定されました。この場合……

1~35回目は200万円から下取り価格の80万円を引いた【120万円】と利息を分割して支払っていきます。
そして36回めには、

・車を返却し、売却したお金で【80万円】+利息分を支払う
・車は(乗り続けるなどで)返却せず、残金の【80万円】+利息分を一括で支払う
・車は返却せず、残金の【80万円】+利息分に対して新たにローンを組み、支払う

のいずれかから選ぶことになります。
車を売ったそのお金で残金を支払うなら、この例だと6割の金額で車を購入できることになります。残価設定ローンのほうが金利が低くなることも多く、月々の負担は確かに減ります。1台の車をあまり長く乗らない方なら、かなり魅力のある購入方法だと言えるでしょう。

残価設定ローンのデメリット

ただし、この残価設定ローンには、いくつかのデメリットがあります。

1. 120万円のローンと同じではない
まずローンの考え方について。なんとなく80万円は値引きされたように錯覚しがちですが、あくまでも200万円に対してローンを組んでいるので、その分利息がかかります。

2. 最終の支払いで負担増大
車を返却しなかった場合には最終回に80万円+利息の支払いが生じます。これを支払うと完済ということになりますが、場合によっては預金を切り崩すなどの負担が生じます。

3. ローンを分けることで利息分が損に
最後に残った80万円を一括で支払えるなら問題はありませんが、もし新たにローンを組むとなると2つのローンを組んだことになり、利息分をかなり損してしまいます。

[通常のローン] 200万円の5年ローン ←金利が低い
[残価設定ローン+新たなローン] 120万円の3年ローン+80万円の2年ローン ←金利が高い

さらに新たなローンの契約時には再審査が必要なので、希望するローンが利用できない可能性もあります。

4. 改造等は不可
3年後には返却する可能性の大きい車。一応は購入した形ではありますが、つまりはリース契約しているのと同じような状態で、原状を回復して返さなければマイナス査定を受けてしまいます。よってカスタマイズは車に傷がつかず元に戻せる範囲でのみ可能。もちろん改造は不可です。

5. 80万円で売れない場合も
3年後の返却時に査定額が80万円に満たない可能性があります。例えば、

・走行距離が規定より長かった場合
・車に大きな傷がついたなど状態が良くない場合
・不人気車種で相場が想定より下がってしまった場合

などが考えられます。そうなれば差額分を用意しなければならなくなり、新たな負担となってしまいます。(※国産車では、ある程度の範囲内であれば、査定額が想定より下がってもその差額は保証するとしていますが、外国車では差額を請求されることがほとんどです。)

価格が多少下がった程度ならまだいいのですが、もしも大きな事故を起こして廃車にでもなってしまったら大変。もちろん返却できる車がなくなってしまうわけですから、残りの返済が大きくのしかかります。

このように、デメリットが決して少なくない残価設定ローン。「3年ごと、5年ごとに新車に乗り換えたい」という方にはうってつけのプランなのですが、「気に入った車に長く乗りたい」という方にはあまりお勧めできるものではありません。大きく判断の分かれるローンだと言えるでしょう。

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マイカーローンは計画的に!

マイカーローンを選ぶ上での9つのポイントと、新しいマイカーローンとも言える残価設定ローンのメリット・デメリットをご紹介しました。もちろんディーラーのクレジットを利用するのも選択肢のひとつなのですが、調べる手間を少しかけるだけで、より有利な条件で購入できるローンに出会える可能性は大きいと言えるでしょう。

まして車は購入したらそれで終わりではありません。燃料費に駐車場代、車検費用に税金、保険……と、お金がかかることばかりです。

本来生活を豊かなものにしてくれるはずの車が、生活を圧迫し、苦しめるものになってしまったのではいけません。このことを踏まえて比較検討と十分なシミュレーションを行い、ぜひ自分にぴったりのマイカーローンを見つけるようにしてください。

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