リフォームでも住宅ローン控除の対象になる?

住宅を新しく買った場合に適用される「住宅ローン控除」は、リフォームした場合も対象になるのでしょうか?


<もくじ>

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除は、減税制度のひとつで、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。

毎年、年末の住宅ローン残高か住宅の取得対価のうちどちらか少ない方の金額の1%(住宅ローンの残高の1%が適用される場合が多いです)が10年間にわたって所得税の額から控除されます。

もし、所得税で控除しきれない場合は住民税からも一部控除されるようになっています。金額や期間など詳しい内容は居住した年月によって異なりますが、これから住宅ローン控除を申請する方は、平成26年4月から平成33年12月までの内容が適用されます。

消費税の増税にともなって、控除の限度額が大きくなっていたりと平成26年3月までの内容よりも拡充されていますので、条件に合えばぜひ利用したい制度です。

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住宅ローン控除の対象と種類

住宅ローン減税というと、家を購入したときだけ、新築を購入したときだけ…というイメージがあるかもしれません。

しかし、一定の要件を満たせば中古住宅の購入やリフォームであっても住宅ローン控除の対象となります。

住宅ローン控除にはいくつか種類があり、それぞれ適用条件や内容が異なります。

特にバリアフリー改修工事や省エネ改修工事、多世帯同居改修工事を含むリフォームを行う場合は、一般的な住宅ローン控除(住宅借入金特別控除)とは異なる「特定増改築等住宅借入金等特別控除」という控除を受けられるかもしれません。

両方の住宅ローン控除の適用条件に該当する方は、一般的な住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けるか特定増改築等住宅借入金等特別控除を受けるか選ぶことが可能ですが併用はできません。

特定増改築等住宅借入金等特別控除って何?と思うかもしれませんが、住宅ローンなどを利用してバリアフリー改修工事や省エネ改修工事、多世帯同居改修工事を含む増改築等を行う場合に一定の要件を満たす場合は控除が受けられるというものです。

一般的な住宅ローン(住宅借入金等特別控除)との違いは適用条件などにありますが、控除が受けられるという点では同じです。バリアフリー化、省エネ、多世帯同居、この3つのどれかに当てはまるリフォームをする方は気にかけてみてください。

さらに、特定増改築等住宅借入金等特別控除については、
・バリアフリー改修工事をした場合
・省エネ改修工事をした場合
・多世帯同居改修工事をした場合
の3パターンごとに条件などが異なります。

ちなみに、特定増改築等住宅借入金特別控除と住宅特定改修特別税額控除(バリアフリー改修、省エネ改修、多世帯同居改修でローンを組まずに自己資金でリフォームした場合にも利用できる控除)の両方の適用条件を満たしている場合は、どちらか一つの控除を選んで適用してもらうことはできますが、併用はできません。

住宅ローン控除を受けるための条件

住宅ローン控除はリフォームをした人なら誰でも受けられるというわけではありません。

一般的な住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けるための条件を、大切なところは太字にしつつ国税庁のホームページから引用します。

個人が増改築等をした場合で住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるのは、次の全ての要件を満たすときです。
(注) 平成28 年3 月31 日以前の増改築等について、居住者以外の方は住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。

(1) 自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること。
(注) 平成20年以前に増改築等を行い居住の用に供している場合は、自己が所有し、かつ、自己が居住の用に供している家屋について行った増改築等に限られていましたが、平成21年度税制改正により、自己の所有している家屋に増改築等をして、平成21年1月1日以後に居住の用に供した場合(その増改築等の日から6か月以内に居住の用に供した場合に限ります。)についてもこの特別控除の対象とされました。

2) 次のいずれかの工事に該当するものであること。

イ 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事
(注) 「建築基準法に規定する大規模の修繕又は大規模の模様替え」とは、家屋の壁(建築物の構造上重要でない間仕切壁を除きます。)、柱(間柱を除きます。)、床(最下階の床を除きます。)、はり、屋根又は階段(屋外階段を除きます。)のいずれか一以上について行う過半の修繕・模様替えをいいます。

ロ マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事(イに該当するものを除きます。)

ハ 家屋(マンションなどの区分所有建物にあっては、その人が区分所有する部分に限ります。)のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事(イ及びロに該当するものを除きます。)

ニ 建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事(イからハに該当するものを除き、その増改築等をした部分を平成14年4月1日以後に居住の用に供した場合に限ります。)

ホ 一定のバリアフリー改修工事(イからニに該当するものを除きます。その増改築等をした部分を平成19年4月1日以後に居住の用に供した場合に限ります。)

ヘ 一定の省エネ改修工事(イからホに該当するものを除きます。その増改築等をした部分を平成20年4月1日以後の居住の用に供した場合に限ります。)

(3) 増改築等の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
(注) 個人が死亡した日の属する年にあっては、同日まで引き続き住んでいること。
 なお、居住の用に供する住宅を二つ以上所有する場合、控除の適用対象は主として居住の用に供する一つの住宅に限られます。

(4) この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。

(5) 増改築等をした後の住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住用に供するものであること。
(注) この場合の床面積の判断基準は、次のとおりです。
1 床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。
2 マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断します。
3 店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します。
4 夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断します。
ただし、マンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、その区分所有する区画の床面積によって判断します。

(6)その工事費用の額(平成23年6月30日以降に増改築等に係る契約を締結し、その増改築等の費用に関し補助金等の交付を受ける場合はその額を控除した額)が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。

(7) 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている増改築等のための一定の借入金又は債務があること。
一定の借入金又は債務とは、例えば銀行等の金融機関、独立行政法人住宅金融支援機構、勤務先などからの借入金や独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社、建設業者などに対する債務です。ただし、勤務先からの借入金の場合には、無利子又は0.2%(平成28年12月31日以前に居住の用に供する場合は1%)に満たない利率による借入金は、この特別控除の対象となる借入金には該当しません。また、親族や知人からの借入金は、この特別控除の対象となる借入金には該当しません。

(8) 居住の用に供した年とその前後2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例など(租税特別措置法31条の3第1項、35条1項(同条3項の規定により適用する場合を除きます。)、36条の2、36条の5若しくは37条の5又は旧租税特別措置法37条の9の2)の適用を受けていないこと。

引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1218.htm

(2)に挙げられている工事内容が行う工事と合致していることはもちろんですが、住宅ローン控除を受けるためにはここまでの条件をすべて満たさなくてはなりません。

どれか一つでも条件にあっていない場合は控除を受けることができないので注意が必要です。自営業などでお店と自宅が兼用でお店のスペースのほうが広いという方、収入が3,000万円以上ある方などは住宅ローン控除を受けられるかどうか少し注意して調べたほうがよいと思います。

また、リフォーム工事の費用が100万円を超えていなかったり返済期間が10年より少ないと控除を受けることができません。リフォームローンを組むときは住宅ローンよりも借り入れ金額が少なかったり返済期間が短かったりすることも多いはずですので、あとになってから受けれると思っていた住宅ローン控除が借り入れ金額や返済年数が条件に合っていなくて実は受けれなかったということにならないように注意しましょう。

また、特定増改築等住宅借入金等特別控除を利用する場合は利用できる条件が異なります。
例えば、バリアフリー改修や省エネ改修を行う場合に該当する可能性がでてきますが、すべてのバリアフリーリフォームや省エネリフォームが対象になるわけではなく、控除の基準に合った改修内容でなくてはなりません。

また、バリアフリー化改修の場合は控除を受ける人が50歳以上か、介護保険法に規定する要介護又は要支援の認定を受けている人か、所得税法上の障害者か、高齢者などの親族と同居を常況としていることが必要で、誰もが申請できるものではありません。

一般的な住宅ローン控除(住宅借入金特別控除)よりも基準において厳しい面もありますが、返済期間が5年以上の場合でも適用できる(住宅借入金特別控除は返済期間が10年以上必要)など緩和されている面もあります。

多くの方が一般的な住宅ローン(住宅借入金特別控除)のほうで申請することになると思いますので、詳しい要件は割愛しますが気になる方はこちらの国税庁ホームページを御覧ください。

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住宅ローン控除の限度額

ここでは住宅借入金特別控除の限度額についてご説明します。平成26年3月までは10年で200万円まで(1年の限度額が20万円✕10年)でしたが、平成26年4月から平成33年12月までは400万円(1年の限度額が40万円✕10年)となっています。

ただし、あくまで本来自分が払う予定だった税金から控除されるだけなので、誰もが限度額の40万円を控除されるわけではありません。所得税と住民税を合わせた金額、ローン残高の1%の金額、年間の控除限度額(40万円)のうち、一番小さい金額分だけ控除が受けられると考えるとわかりやすいかと思います。

具体的に金額の例を出して考えてみましょう。所得税と住民税を合わせた金額が30万円、年末のローンの残高の1%に相当する金額が45万円だった場合、所得税と住民税を合わせた金額の30万円が減税されることになります。

ローンをだんだん返済していき、所得税と住民税の金額が30万円、年末のローンの残高の1%に相当する残高が25万円となった場合には、その年の控除額は25万円となります。住民税と所得税を合わせた金額も年末のローン残高の1%の金額も40万円より多ければ限度額の40万円が控除額として適応されるということです。

毎年40万円を「もらえる」ということではないので注意しましょう。

リフォームで住宅ローン控除を申請する方法

住宅借入金等特別控除を受けるためには、確定申告が必要です。必要事項を記載した確定申告書とその他の必要書類を納税地の所轄税務署長に提出することで行うことができます。

サラリーマンの方は確定申告なんてしたことがないという方も多いはずです。そもそも確定申告とは、1年間に所得のあった人がいくら所得があって、いくら所得税を納めるのか申告すること(申告納税)と納めすぎた所得税を返してもらうこと(還付申告)をさし、毎年2月16日~3月15日に前年のぶんが行われます。

ただ、みんながみんなひとりずつ確定申告をしていては大変なので、会社員の方には年末調整というものがあります。会社員の方は給与から税金が天引きされ、還付も会社がまとめて行ってくれます。確定申告を代行してくれていると考えればわかりやすいですね。

ただ、住宅ローン控除の場合、初年度は年末調整で済ませることができませんので自分で確定申告をして還付を受ける必要があります。2年目以降は年末調整で住宅ローン控除をしてもらえますので特に手続きはしなくてもよくなりますので1回だけ頑張って確定申告を行いましょう。

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確定申告のやり方と流れ

確定申告のやり方は大きく分けて3つです。

1:手書きで確定申告書を作成→税務署に持参するか郵送する
2:ネットで確定申告書を作成→税務署に持参するか郵送する
3:ネットで確定申告書を作成→ネットで提出する

1の場合、まずは確定申告書を入手しなくてはなりません。作成税務署に行くと確定申告書がもらえますが、確定申告のシーズン前になると市役所などの役場に並ぶこともありますので税務署まで行くのは遠いという方はチェックしてみましょう。また、国税庁のサイトから用紙をダウンロードすることも可能です。

2や3の場合、国税庁のサイトにある確定申告書等作成コーナーを利用します。税務署へ行って指導してもらいながらパソコンで作成をすることができますが、画面の案内に従って数字などを入力していくだけで知識がなくても簡単に確定申告書等を作成することができます。

作成した申告書等は印刷して提出することも、e-Tax(電子申告)を利用して提出することもできます。作成したデータを保存したり、保存したデータを読み込んで作業を再開することもできるで便利です。

e-Tax(電子申告)をする場合は、事前に利用登録やカードリーダーなど準備が必要です。もし会社員で住宅ローン控除を受ける年だけ確定申告を行うという方であれば、たった1回の確定申告のためにわざわざ電子申告に対応できるように準備をするよりも印刷して持参したり郵送したりする方が手軽だと思います。

ちなみに、筆者のおすすめの方法は、「ネットで作成して郵送する」です。直接提出してもいいのですが、確定申告のシーズンは税務署も確定申告会場もとにかく混みまくります。

しかも、インフルエンザや風邪などが猛威を振るう季節でもあります。事前に作成しておいて2月16日以降に郵送…という流れがスマートかと思います。

直接提出しないと控えがもらえないのでは?きちんと申告できているか不安…という方は、ネットで申告書を作成すると「控え」が出てきますので、控えと切手を貼った返信用封筒を入れておくと税務署が判子を押して控えを後日郵送してくれます。

また、作成途中にわからないことがでてきたらどうしようという方、税務署に電話すると丁寧に教えてくれます。ただ、確定申告期間中は電話も混み合うので、申告書の作成に必要な書類が揃ったらなるべく早くとりかかるようにするといいですよ。

確定申告書以外の必要書類は?

住宅ローン控除を受けるためには確定申告書以外にも次のような書類が必要です。次に挙げる書類も確定申告書といっしょに提出します。

・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
国税局のホームページからダウンロードして入手することが可能です。
補助金等の交付を受ける場合や住宅取得等資金の贈与の特例の適用がある場合は、「補助金等の交付を受ける場合又は住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合の取得対価の額等の計算明細書」、連帯債務がある場合には、「連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」も必要です。

・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明
2か所以上から交付を受けている場合は、その全ての証明書が必要です。この証明書は借り入れした金融機関から送られてきますので失くさないようにしましょう。平成27年分以前の申告では、この控除を受ける者の住民票の写し(マイナンバーなし)も必要です。

・リフォームの内容によってそれに応じた建築確認済証の写し、検査済証の写し又は増改築等工事証明書

・家屋の登記事項証明書、請負契約書の写し等で、増改築等をした年月日、その費用の額、増改築等をした家屋の床面積及び家屋の増改築等が特定取得に該当する場合にはその該当する事実を明らかにする書類
補助金等の交付を受ける場合には交付を受けた補助金等の額を証する書類、住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けている場合には住宅取得等資金の額を証する書類の写しも添付する必要があります。登記事項証明書は法務局から入手します。請求については、登記所の窓口や郵送による請求のほか、インターネットを利用し請求できます。オンライン請求は、手数料が安く平日は21時まで可能です。

・給与所得者の場合は、給与所得の源泉徴収票

リフォームでも住宅ローン控除の対象になる?「まとめ」

リフォームであっても、住宅借入金特別控除の適用条件を満たせば所得税の控除を受けることが可能です。

リフォームの借入金額が100万円以上かつ返済期間が10年以上あるよという方は他の条件もチェックして申請できるかどうか確かめてみましょう。

住宅ローン控除を受けるためには会社員の方でも1年目は自分で確定申告を行う必要がありますが翌年以降は年末調整で自動的に控除してもらえます。

書類を揃えたりなれない確定申告を行うのは手間かもしれませんが1度だけ頑張って手続きしておくことで支払う税金を安くすることができますよ。

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