マイカーローンを滞納したら?返済できなくなったら?

自動車を購入する際、ローンやクレジットを利用して代金を支払っていく方がほとんどでしょう。

自動車購入代金をスムーズに全額を支払えたら問題はないのですが、マイカーローン完済までの数年間のうち、何らかの理由で支払いが滞るようなことがないとは言い切れません。

もしもマイカーローンの支払いが遅れたり返済不能に陥ったりしたときにはどうなるのでしょうか。

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マイカーローンを滞納すると?【車の所有権がクレジット会社の場合】

マイカーローンを滞納したときの対応は、自動車の所有権が自分にあるのかローン(クレジット)会社等にあるのかによって異なってきます。

ここではディーラーでクレジット契約を結んだ(自動車の所有権はクレジット会社にある)という前提で、起こり得ることを見ていきましょう。

なお、いつ頃どんな対応を取るのかは業者によって異なります。こちらでご紹介するのはひとつの例としてご覧ください。

1.返済日を過ぎたとき

決められた日にマイカーローンの引き落としができなかった場合、何度も延滞を繰り返していないのであれば、ほとんどのケースで郵便での督促になります。

自宅などに送られてくるハガキには、マイカーローンの引き落としができなかったこと、再引き落とし日はいつになるのかなどの情報が記載されています。

返済日を過ぎたら1日めから滞納の罰則金とも言える「延滞損害金」が発生し、通常の返済分にプラスしての支払いが求められます。

延滞損害金の年率は最高で29.2%までと定められていますが、14.0~20.0%としているところがほどんどでしょう。

この年率、法定金利の上限に比べれば低くはあるものの、通常のクレジットやローンの金利と比べればかなり高い利率です。具体的にどの程度の金額になるのかを計算してみましょう。

100万円を借りている方が30日間の延滞をしたとします。仮に延滞損害金の年率が20.0%だったとすると、

100万円x0.20÷365日×30日=約16,438円

1万6,000円以上の延滞金となりました。このようにマイカーローンは借りる金額が大きいため、それに伴って延滞損害金も大きな額になりがちです。

実際の支払いにはこの金額を通常の返済分に加算しなければならず、しかも遅延を解消しない限りこの状態が続くことになるため、非常に厳しい罰則だと言えます。

2.再引き落としを過ぎたとき

通常の返済日に引き落としができなかったときのために、1~2週間後に再引き落とし日が設けられています。ここでマイカーローンの引き落としされれば良いのですが、問題はこの日にも引き落としできなかった場合です。

まずはクレジット会社から自宅等に電話がかかってきます。と同時に、郵便でも再度督促のハガキが送られてきます。

支払いに遅れがあるとクレジット会社からの電話には出たくないものですが、この電話を無視し続けるのは大きな間違い。電話に出ないことを支払う意志がないと受け取られるケースが少なくないからです。

自宅への電話がつながらなければ、クレジット会社は今度は勤め先に電話をかけてきます。もちろん会社名は名乗らず担当者の個人名でかけては来るのですが、プレッシャーは決して小さなものにはならないでしょう。

一番良いのは向こうからの電話を待つのではなく、こちらからクレジット会社に連絡を入れることです。

なぜマイカーローンの支払いが遅れてしまったのか、遅れが出るのは今回だけなのか、それとも今後の支払い計画にも影響する可能性があるのかなどを伝え、相談に乗ってもらいましょう。

クレジット会社としては、たとえペースダウンしたとしても支払いがあるのが一番良いことなので、柔軟に対応してもらえることがほとんどです。

電話に出ないまま放置するのが一番の悪手です。クレジット会社側も事情が分かればいたずらに督促を繰り返すことはありません。

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3.再々引き落とし日を過ぎたとき

では、マイカーローンの支払いができないまま、さらに再々引き落とし日も過ぎてしまったらどうなるのでしょうか。ここでは当初の支払日から3週間~1ヶ月程度過ぎたケースを想定しています。

今回のケースでは自動車の所有権はクレジット会社にありますので、電話にて、「このまま支払いがなければ車をお預かりすることになります」と伝えられます。

早い業者であれば、自動車の引き上げ日は○日、売却日は○日というところまで伝えられることになるでしょう。

引き上げられた車は売却され、そのお金は返済額の一部に充当されるのです。一度売却されてしまえば、その自動車はもう戻ってきません。

つまりその売却日こそがマイカーローン支払いの最終期限ということになるわけです。自動車の引き上げ、売却までは思っている以上にスピーディーで、そこがマイカーローンの厳しいところでもあります。

4.次の支払日もマイカーローンの返済できないとき

次の支払日にも返済ができなかった、すなわち2ヶ月連続して滞納したケースです。電話や郵便にて再度支払いの請求があるとともに、自動車の引き上げの日を具体的に約束します。

業者によっては1ヶ月の遅れですぐに車が引き上げられることもありますし、対応部署が変わるケースもあります。

ここまで全く対応しないまま放置していると、担当者が自宅に督促に来たり法的手段を取られたりということも有り得ます。

5.自動車の引き上げ

それでもなおマイカーローンの支払いがない場合には自動車を引き上げられてしまうことになります。

実際の引き上げ日の判断は1ヶ月半~3ヶ月と業者によってまちまちですが、2ヶ月の滞納により権利が失効する旨の連絡があり、そのまま自動車を取られてしまうケースが多いようです。

自動車の引き上げには必ず本人の許可が必要なので、中にはそれを盾に引き上げを拒否したり連絡を取れなくする方もいるようです。

「自動車がなければ仕事ができない」「通勤できなくなる」など事情はいろいろあるでしょうが、裁判を起こされてより面倒な事態になってしまうだけで良いことはありません。

特に自動車に価値がある場合には、引き上げの先延ばしは権利者側に得することが何ひとつないため、さっさと訴訟を起こされる可能性が高いでしょう。

自動車の引き上げはクレジット会社に委託された専門の業者によって行われます。その引き上げ時にも本人の立会いが必要となります。

勝手に自動車を持っていってしまうと窃盗罪に問われてしまうからです。引き上げは非常に残念ですが、ここで抵抗しても状況をこじらせるだけです。

もしも法的手段を取られたら?

業者からの連絡を無視している、自動車の引き上げに同意しない、誠実な対応を取らない、借金の踏み倒しを狙っている、などのように見られた場合には法的手段を取られてもおかしくありません。

もし法的手段を取られたら、まず裁判所から郵便物が送られてきます。この郵便物を無視することは絶対にしないでください。この時点で裁判所に連絡し、生活が苦しいなどの事情を訴えて和解を求めれば、残債を分割払いにできる可能性は十分にあります。

しかしそれでも無視をしていると、自体はさらに悪化します。一括返済命令がくだされ、これが払えなければ強制執行、そして差し押さえということに……。

そのうえ給料も差し押さえの対象となるため、これらの事態が職場に知られるのも避けられないでしょう。

マイカーローンが支払えないのなら、自動車が手元に残る望みは全くないのが現実です。気が重いのはわかりますが、とにかく早め早めの対応が自分を救うことになるのは間違いありません。

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6.自動車の売却

自動車が引き上げられてしばらくすると、自動車は売却されます。売却されるまでの期間にマイカーローンの支払いがあれば自動車は戻ってきますが、売却されてしまえばもう戻ってきません。

そして、自動車が売却されれば終わりではないのが大変なところです。

差額の支払い

自動車の売却査定額はマイカーローンの残債と相殺されるのですが、ゼロにはならず、それなりの金額として残ってしまうケースがほとんどです。

そしてその残債は、自動車を取られてしまった後も支払い続けなければなりません。さらには自動車の引き上げにかかった費用も併せて請求されることになります。

もちろん一括で支払うことはできないため、マイカーローンは新たに組み直しになるでしょう。そのためには再審査が必要で、契約には連帯保証人が求められます。

自動車を売却した分、支払い金額は減りますし、月々の返済額も少なくなることがほとんどなのですが、手元から離れてしまった自動車の借金を払い続けるのは精神的に厳しく、中には債務整理を選ぶ人も珍しくありません。

延滞の記録が残る

自動車が売却されると信用情報に「延滞」の記録が残ってしまいます。その記録は他の金融機関の知るところになるため、今後新たに自動車を購入しようとしても、クレジットやローンにはかなり通りにくくなると言わざるを得ません。さらにはキャッシングカード等を作るのも困難になってしまいます。

この記録については車の代金を完済した後も、5年間は残り続けます。要するに「ブラックリストに載った」状態になるわけです。

マイカーローンを滞納すると?【車の所有権が自分にある場合】

保証人が不要のマイカーローンでは、保証会社が保証人の代わりを務めるます。自動車の所有権が自分にある場合に滞納を起こしたケースでは、ローンを契約している金融業者は保証会社に一括返済を求め、保証会社はそれに応じます。これを代位弁済といいます。

この後の支払いは、金融機関へではなく保証会社に対して行うことになります。あくまでも債権者が変わるだけで返済義務がなくなるわけではありません。

マイカーローンの返済では債務者は期限が来るまで支払わなくても良く、債権者から返済を求められることもありません。

これを「期限の利益」といいますが、通常2ヶ月連続して滞納すると契約違反となり、債務者は期限の利益を喪失する(=すぐに残りの返済を求められる)ことになります。

保証会社からは「本状到着より○日以内に滞納分の支払いがなければ期限の利益を喪失します」「残額を一括請求します」などといった内容の文書が届きます。

文書にある期限までに支払いを行えばひとまず期限の利益の喪失は避けられますが、もしも返済ができなければ法的手段を取られてしまいます。こちらの場合にも差し押さえにより、車を失う可能性が非常に高いと言えるでしょう。

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マイカーローンの延滞・返済不能という事態を防ぐには?

実はマイカーローンを滞納したり返済不能となるきっかけになりやすいのがボーナスの誤算です。

当てにしていたボーナスが期待していたほどもらえなかった、もしくは全くボーナスが出なかったというのは非常によくあるケースですので、ボーナス払いは設定しないのが賢明です。くれぐれも高額の支払いを割り当てないように注意しましょう。

しかし注意していても、仕事を辞めざるを得なくなった、転職して収入が減ったなどということは有り得るものです。そのような場合にはどうすればいいのでしょうか?

まずは金融機関に連絡

「支払いが苦しくなりそう」となった時点で、まずは金融機関やクレジット会社に連絡することが肝心です。できれば滞納してからではなく、滞納する前が望ましいでしょう。

金融機関等によっては決められた最低支払い金額よりも高く、利息より高い範囲の金額で支払いを続けることも可能です。そのぶん完済までの期間は長くなり、支払利息が増えてしまいますが、高い延滞損害金を支払うよりは遙かにましです。

金融機関側としては月々の入金が少なくなっても支払いを続けてもらうのがベターで、債務整理をされてしまうことが一番困ります。きちんと相談することで柔軟な対応をとってもらえることが多いでしょう。

マイカーローンの借り換え

現在利用しているマイカーローンよりも低い金利の商品、最低返済額が少ない商品を探して借り換えます。返済が長期にわたることで支払利息は増えることになりますが、月々の返済に対して多少の余裕が出るのはかなり大きいと言えます。

しかし延滞を起こしてしまってからでは新たなマイカーローンを探すのは難しくなります。これまで延滞を起こしていないことが条件となっている借り換えローンも多いからです。

少しでも「このままいくと危ないかも?」と思った時点で即行動に移すようにしましょう。

とりあえず当面の支払い分だけでもなんとかしようとして、カードローン等で新たにお金を借りることはお勧めしません。

消費者金融などでお金を借りれば金利は18%程度。ますます支払いが膨れ上がる可能性があります。

なお、延滞を起こしてしまってから慌てて別の貸金業者と契約しようとしても、審査に通らない可能性が高くなります。

お勧めはしませんが、もしもどうしてもローンカードを作る必要がある場合には、延滞する前に検討するようにしてください。

自動車が自分名義なら売却を考える

このままならマイカーを取られてしまうという場合には、それよりも前に自分でできるだけ高く売却するという方法があります。

マイカーローンの滞納をするよりも前に動けばさらに効果的でしょう。名義が自分ではなく、金融機関の場合にも、売却したいことを伝えれば対応してもらえることがあります。ぜひ相談してみましょう。

売却した場合、自動車はなくなってしまいますが、後々の返済はぐっと楽になります。また、差し押さえられたときとは違い、信用情報に傷がつくのも避けられます。

自動車は後にまた購入することができるのですから、まずは延滞を起こさないことが先決です。

どうしてもマイカーローンの返済が不可能なとき

もうどうしてもマイカーローンの返済は不可能という場合には、債務整理を検討せざるをえなくなるかもしれません。

この場合、「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4種類から選択することになります。

家や自動車を手元に残したいのであれば、任意整理、または個人再生になりますが、裁判所での手続きをはじめこれらにはプロの知識が必要となることが多いので、まずは弁護士、司法書士などの専門家に相談してみましょう。

債務整理を行った場合には信用情報に記録され、その情報は5~10年残り続けることになります。まさに最終手段です。

マイカーローン契約者が亡くなった場合には?

自動車を購入した方がマイカーローンを完済する前に不幸にも亡くなってしまった場合、残ったマイカーローンはどのような扱いになるのでしょうか。

マイカーローンの支払いも財産の一部、いわばマイナスの財産です。これを相続するケースも相続を放棄するケースもあるでしょう。

相続する場合には、マイカーローンは組み直しになり、残りの契約分を支払っていくことになります。

マイカーローン自体は再審査が必要ですが、こういったケースではまず審査に落ちることはないと考えられます。自動車の名義は今後乗っていく方に変更するのが一般的でしょう。

相続を放棄する場合には、まず自動車を売却し、そのお金でローンの残りを相殺します。そして足らない分は残債放棄ということになります。

マイカーローンの滞納、返済不能になる前に

もちろんスムーズに返済できるのがベストですが、マイカーローンを完済する数年の間に「もしも」の事態が絶対に起こらないとは誰にも言えません。

そんなとき、重要なのは「早めの行動」です。放置したり居直ったりするような行動は何の役にも立たず、事態を悪化させるばかりです。

マイカーローンの返済に不安を感じることがあれば、できるだけ早くクレジット会社等に相談するようにしましょう。

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