マイカーローン繰り上げ返済によるメリットとデメリット
購入した自動車の代金を支払うのは仕方がないけれど、ローンにかかる利息がなんとも無駄に見えてしまうということはありませんか?
マイカーローンの場合、何年かにわたってそれなりの金額を毎月返済し続けていかなければなりません。
できるだけ早くマイカーローンの支払いを済ませてスッキリしたいというのは誰しもが思うところなのではないでしょうか。
そんなときのひとつの選択肢となるのがマイカーローンを繰り上げ返済することです。マイカーローンを繰り上げ返済することによってどんなメリットがあるのか、またデメリットはないのかについて詳しく見ていくことにしましょう。
繰り上げ返済とは?
毎月決められた支払い金額にいくらかを上乗せして返済することを繰り上げ返済といいます。
住宅ローンではよく行われている繰り上げ返済ですが、最近はマイカーローンでも繰り上げ返済可能な商品がかなり増えてきています。
繰り上げ返済には残金を全て一括して支払うもののほか、一部のみを返済するものも含まれます。
また、一部繰り上げ返済した場合には、残りの金額をどう返済していくのかによって、次の2つのタイプに分けることができます。
2.繰り上げ返済後、完済までの返済回数はそのままで、月々の支払額を減らす
1の期間を短縮する方法の場合、繰り上げ返済は本来の返済日を前倒しして支払うという意味になります。
すると完済までの借入期間は短くなるので、その分の支払利息を減らすことができます。マイカーローンではこのタイプが採用されている商品が多いようです。
しかし、マイカーローンでもまれに2のタイプが採用されている商品があります。
繰り上げ返済を行った後の残金を、支払回数は変更しない代わりに月々の返済額を減らす形で支払っていくというものです。
こちらだと毎月の支払いは楽になりますが、完済までの期間は短縮されないため、思ったほどお得には感じられないかもしれません。
まずはご自身が契約されているマイカーローンがどちらのタイプなのかを確認してみてください。
繰り上げ返済のできないマイカーローンはある?
現在、多くのマイカーローンで繰り上げ返済が可能になっていますが、中には繰り上げ返済を受け付けていない商品もありますし、次のような条件付きで可能という商品もあります。
・繰り上げ返済できる金額の下限が決まっている
・繰り上げ返済できる回数の上限が決まっている など
これからマイカーローンを契約する方で、繰り上げ返済をする可能性がある方は、繰り上げ返済の可否や条件などをよく確認した上で申し込むことをお勧めします。
繰り上げ返済への対応状況と手数料
人気の高いマイカーローンの繰り上げ返済についての対応状況と、繰り上げ返済にかかる手数料を調べてみました。
全額繰り上げ | 一部繰り上げ | |
三菱UFJ銀行 マイカーローン | 5,400円 | 5,400円 |
三井住友銀行 マイカーローン | 5,400円 | 5,400円 |
りそな銀行 マイカーローン | 0円 | 0円(返済時期・返済金額に制限) |
横浜銀行 マイカーローン | 3,240円 | 5,400円(ネットバンキングで手続きすると無料) |
千葉銀行 マイカーローン | 5,400円 | 5,400円(ネットバンキングで手続きすると無料) |
常陽銀行 マイカーローン | 0円 | 0円 |
関西アーバン銀行 マイカーローン | 0円 | 0円(200円の収入印紙が必要) |
住信SBIネット銀行 MR.自動車ローン | 0円 | 0円 |
JAバンク マイカーローン(※JAごとに異なる) | 0円~43,200円 | 0円~32,400円 |
ろうきん カーライフローン | 0円 | 0円 |
アプラスマイカーローン | 0円 | 0円 |
損保ジャパン日本興亜 ジャパンダ・ネットマイカーローン | 5,400円 | 5,400円 |
このように、調べた範囲内では繰り上げ返済の全くできないマイカーローンは見つかりませんでしたが、手数料がかかってしまうものが少なくなく、その額についてはかなり気になるところです。
意外と大きい繰り上げ返済手数料
繰り上げ返済時の手数料が全く不要というマイカーローンもたくさんありましたが、5,000円程度の手数料(+消費税)が必要になるものも多く見かけます。
確かにお金を貸す金融機関側にしてみれば、繰り上げ返済されてしまうことで、本来儲けになるはずだった利息が入らなくなってしまいます。そのかわりとして手数料を課すというのも仕方のないことなのかもしれません。
しかし返済する側とすれば、5,400円はちょっと高いなぁという印象。2回、3回と重なれば無視できない金額になります。
支払利息を減らせるはずが、逆に損してしまった!などということにならないように、節約できる金額と支払わなければならない手数料については必ず比較検討する必要がありますね。
逆に、1円から何度繰り上げ返済しても手数料は全く不要であることを売りにしているマイカーローンもたくさんあります。
どんどん積極的に返済していきたいとお考えの方なら、最初からそういう手数料無料の商品に絞ってマイカーローンを選んで行くべきでしょう。
カードローンは手数料不要
自動車の代金をカードローンで捻出した、もしくは足りない分をカードローンで補ったという方もいらっしゃるかもしれません。
カードローンは一般のマイカーローンよりも金利が高いので、できるだけ早く返済してしまいたいところですね。
カードローンだとほとんどの場合、繰り上げ返済しても手数料はかかりません。繰り上げ返済する効果は大きいので、余剰資金がある場合にはぜひ率先して返済していきましょう。
繰り上げ返済するといくらお得になる?
ではマイカーローンを繰り上げ返済した場合に実際に減らせる支払利息はどのくらいになるのか、実際に計算してみましょう。
これについてはもちろん利用するマイカーローンの契約内容や融資額、返済時期等によって大きく違ってきますので、あくまでもひとつの例として参考になさってください。
200万円を年利5%で借りたマイカーローン。返済期間3年、元利均等返済で月々59,941円を返済していたところ、途中で50万円を繰り上げ返済することにした場合。繰り上げ返済は期間が短縮されるタイプを想定しています。
▼繰り上げ返済をしなかった場合→総返済額2,157,888円
▼借り入れ半年後に50万円を繰り上げ返済した場合→総返済額2,101,203円(差額56,685円)
▼借り入れ1年後に50万円を繰り上げ返済した場合→総返済額2,114,644円(差額43,244円)
▼借り入れ2年後に50万円を繰り上げ返済した場合→総返済額2,140,639円(差額17,249円)
※上記は「繰上げローン返済 – 高精度計算サイト」で計算しました。
これらの数字からわかるように、返済し始めて比較的早い時期に行った繰り上げ返済は、支払利息を圧縮するのにかなり効果的だと言えます。
しかし、返済終盤の繰り上げ返済だと、期間の短縮には役立つものの、支払利息に関しては期待したほどの効果はないと感じられたのではないでしょうか。
まして手数料が差し引かれてしまえば、マイカーローンを繰り上げ返済する旨味はほとんどないということになってしまいます。
その理由のひとつには、マイカーローンの金利の低さが挙げられます。ではもう少し金利が高かった場合にはどうなるのでしょう。
銀行のマイカーローンだと5%よりもっと金利の低い商品は少なくありませんが、クレジット会社やカードローンを使った場合にはこの金利では借りられません。
上と同じ状況で、年利12%のケースも計算してみましたのでごらんください。
▼借り入れ半年後に50万円を繰り上げ返済した場合→総返済額2,246,391円(差額145,022円)
▼借り入れ1年後に50万円を繰り上げ返済した場合→総返済額2,282,102円(差額109,311円)
▼借り入れ2年後に50万円を繰り上げ返済した場合→総返済額2,347,977円(差額43,436円)
この金利だと、早い時期の繰り上げ返済はかなり効果的! そして仮に比較的遅い時期になっても、繰り上げ返済する甲斐は十分にあると感じる方が多いでしょう。
これらのことから、繰り上げ返済するなら
・時期が早ければ早いほど効果的
・金利が高ければ高いほど効果的
ということが言えます。
返済終盤や低金利のマイカーローンの繰り上げ返済も決して損するというわけではありませんが、期待に見合う効果があるかどうかをよく考えてみる必要があります。
アドオン方式だと繰り上げ返済の効果が薄い
マイカーローンの返済方法には元利均等方式、元金均等方式、アドオン方式などがあります。どの方式が採用されているかによっても繰り上げ返済の効果が大きく異なってきます。
元利均等方式は銀行などのマイカーローンでよく採用されている方式です。
元利均等方式では毎月の返済額は一定。返済の早い時期であればあるほど利息分の割合が大きくなっています。
月々同じ額を返済していけば良いので長期にわたる返済計画が立てやすいメリットがありますが、最初のうちは元金がなかなか減らず、支払利息が大きくなるのがデメリットです。消費者金融等のカードローンもこちらの方式を採っていることがほとんどです。
元金均等方式は毎月の返済のうち元金の分が一定で、それにプラスして利息分を支払っていくという形です。
支払いが進むにつれて利息分が減っていくため、毎月の返済額もそれにつれて減っていきます。
元金均等方式には元利均等方式と比べて総返済額が少なくなるメリットがありますが、返済初期の負担が大きいという欠点があります。住宅ローンなどでよく見かける方式です。
そしてアドオン方式は、まず元金と利息分を合計し、それを支払回数で割って、毎月一定の額を返済していくという方法です。
毎月の返済額が同じ額でわかりやすいため、信販会社のクレジットだとこちらが採用されているケースが多いですね。カーディーラーと提携しているクレジットだと、大抵はこの方式が採られています。
さて、この3つの方式、この中で繰り上げ返済の効果が最も大きいのが元利均等方式です。
繰り上げ返済分は全て元金に充てられるので、効果的に元金が減らせ、それにともなって利息分を圧縮できるからです。
その一方で、アドオン方式では繰り上げ返済の効果がほぼありません。もちろん前倒して支払うことで完済までの期間を短くできるというメリットはあるのですが、繰り上げ返済しても総支払額はほとんど変わらないのです。
なお、アドオン方式に関しては戻り利息分を導き出すための「78分法」が非常に煩雑なので、個人で試算するのはきわめて難しくなっています。
わずかでも支払利息を圧縮できないかな?という場合には、クレジット会社に相談し、実際に見積もりを出してもらってから検討するようにしてください。
マイカーローン 繰り上げ返済のメリット・デメリット
最後に繰り上げ返済のメリットとデメリットをまとめてみましょう。
繰り上げ返済するメリット
・返済期間を短縮することができる
・月々の支払いを減らせる商品もある
・返済実績が上がることで他のローン(車の次回買い替え時や住宅ローンなど)の審査に有利に働く
・残債が減る(またはなくなる)ことで安心感が得られる
繰り上げ返済するデメリット
・手数料がかかる商品では損失分が大きくなる
・手持ちの資金が減るのでいざというときに心配
・手続きが面倒
住宅ローンのように借りる金額がとても大きく、返済がかなり長期間にわたるケースでは、繰り上げ返済のメリットはかなり大きいと言えます。
変動金利が採用されている商品であれば、金利が低い間にできるだけ返済しておいて、その後の変動に備えるといった考え方もできます。
しかしマイカーローンは住宅ローンに比べると額が小さく、完済までの期間もさほど長いものとはなりません。そのため、繰り上げ返済のメリットも限定的なものにとどまると言うことができるでしょう。
もちろん、繰り上げ返済することで完済までの期間を短縮することはできますし、返済をし始めて早い段階であれば効果的に支払利息を減らすことは可能です。
ただ、だからと言って、いざというときのための預貯金や生活費を削ってまで費用を捻出する必要はありません。
早く借金を完済したいがために繰り上げ返済貧乏に陥るケースは、物事を真面目に考えすぎる女性に比較的多いと言われています。
また、「定期を解約して繰り上げ返済した後でまとまったお金が必要になり、消費者金融で借りる羽目になってしまった」というのでは本末転倒です。
マイカーローンの繰り上げ返済にはメリットがあります。しかしあくまでもその資金は余裕のあるものから無理のない範囲内で用意するようにしてください。