審査が甘い・柔軟なマイカーローンはどんなタイプ?
自動車をローンで購入するためには、まずは審査に通らなければなりません。しかしその審査を問題なく通過し、無事契約できるかどうかに不安を感じるという方は少なくないでしょう。
全てのマイカーローンの審査が同一の基準ではないというところまでは想像に難くありませんが、では実際に、他に比べて審査が甘い・緩いマイカーローンというのは存在するのでしょうか。
また、甘い審査のマイカーローンあるとすれば、それはどんなタイプのローンなのでしょうか。マイカーローンを申し込む際に知っておくべき注意点などと併せてご紹介します。
審査が甘いマイカーローンの選び方
マイカーローンに限らず、融資を受ける際の審査基準をオープンにしている業者は皆無です。
クレジット会社でも銀行でも、直接問い合わせて具体的な審査基準を教えてくれることはありません。
とはいえ、ほとんど通る見込のないものに申し込んで審査落ちしてしまうという事態は避けたいもの。審査のある程度の傾向を知っておきたいところです。
マイカーローンの審査は全てのローンの中でも比較的厳しい部類に入るため、どんな方でも通ると言えるほどの”審査の甘い”マイカーローンは残念ながら存在していません。
とはいえ、審査基準の厳しさがマイカーローンごとに違っているのもまた事実です。「審査に通るか通らないかは実際に申し込んでみなければわからない」というのが本当のところではありますが、一般的な傾向としては次の2点を挙げることができます。
2.金利の高いものは審査が甘く、金利の低いものは審査が厳しい
ではこの2点について詳しく見ていきましょう。
ポイント1:マイカーローンよりクレジットのほうが審査が甘い
ローンとクレジットの違いとは?
ローンもクレジットも「お金を借りて商品を買い、後でその代金を利息とともに返済する」ものとして同一視されがちです。しかしローンとクレジットには根本的に違いがあり、マイカーローンの場合にはその違いが審査の難易度に大きな影響を及ぼします。
マイカーローンでは、ユーザーがローン会社から購入費用を借り、そのお金で自動車を買います。
ユーザーはその後、借りたお金をローン会社に返済します。この場合、ローン会社と自動車販売店(ディーラー)との間には直接の取り引き関係はありません。自動車の所有権は購入した時点ですぐにユーザーのものになります。
一方、クレジットでは、クレジット会社が自動車の代金をディーラーに立て替え払いし、ユーザーはクレジット会社にその代金を返済します。
こちらの場合ではクレジット会社とディーラーとの間に直接取り引き関係が発生します。
自動車の所有権は基本的にクレジット会社が保持することになり、完済することで初めてユーザーのものになります。「クレジット会社が自動車を購入して、ユーザーはその代金を支払いながら車を借りて乗っている」とイメージすればわかりやすいのではないでしょうか。
このように、クレジットは厳密にはマイカーローンとは違うものということになります。ただ、ここでは便宜上、クレジットもローンの一部としてご紹介していくことにします。
審査が最も甘い?ディーラー系のクレジット
マイカーローンの中で最も審査が柔軟で、通過しやすいのがディーラー系のクレジットです。購入する際、ディーラーで勧められる分割払いの多くがこれにあたります。ディーラーで提携しているのはトヨタファイナンス、ホンダファイナンス、日産フィナンシャルサービスなど、同じメーカーの系列のクレジット会社で、他のクレジット会社を選ぶことはできません。
ディーラー系のクレジットは連帯保証人が必要になるケースもありますが、他のマイカーローンに比べて所得の少ない方や主婦の方でも通りやすいと言われています。
また、ディーラー系のクレジットには審査が柔軟であるだけでなく、手続きが簡単かつスピーディーであること、土・日など金融機関の休日でも審査や手続きが可能であること、時折ディーラーが値引きキャンペーンなどを行うことがあるなどのメリットもあります。
ディーラー系のクレジットの審査はなぜ甘いと言われているのでしょうか? それには次のような理由があります。
・自動車の所有権がクレジット会社に据え置かれるから
特に注目すべきなのが、先ほども触れた自動車の所有権についてです。
自動車が自分のものにならない!?
自動車の所有権がクレジット会社にあるということは、自動車が融資を受ける際の担保になっていることを意味します。
もしも返済が滞った場合、自動車は引き上げられ、それを売却することで損失分の穴埋めをするのです。クレジット会社としては貸し倒れのリスクを小さくできるので、その分審査に通りやすくなっているということなんですね。
また、自動車の所有権が自分にないということは、いざ売却しようと考えたときに手続きが煩雑なものになるという点も頭に入れておく必要があります。
ディーラー提携クレジットは金利が高め
そしてディーラー提携クレジットのもうひとつのデメリットとして、銀行等のマイカーローンよりも金利が高いことが挙げられます。
銀行のマイカーローンにもいろいろな商品があるので一概には言えませんが、低いものでは1~2%なんていうものもあります。そちらに比べるとクレジットは5~8%なので、かなり差があります。
さらにはクレジットが組めるのは車両の価格に対してのみで、税金等の諸費用は現金で支払わなければならないことがほとんどだということにも注意が必要です。
銀行等のマイカーローンだと諸費用もひっくるめてローンを組めるのですが、クレジットではこれができません。こうした返済、支払いの面で無理が出ないかどうかをしっかりと考えて契約する必要があります。
信販会社のクレジットは審査が甘い?
ディーラーの同一系列ではなく、オリコ、セディナといった信販会社がディーラーと提携しているケースもあります。
契約の方法はディーラー系列のクレジットと同様で、手続きは簡単、自動車の所有権は信販会社のものとなるなど、ほぼ同じメリットとデメリットがあります。
信販会社のクレジットも自動車が担保になる分、審査には通りやすいのですが、ディーラー系のクレジットに比べると審査はやや厳しいと言われています。
また、信販会社のクレジットはディーラー系クレジットや銀行などのマイカーローンに比べて金利が高くなりがちで、8%から場合によっては10%を超えるケースもあります。
100万円単位での契約になるなら支払利息に数十万円程度の差が出てくる可能性もあります。ディーラーに勧められるまま契約するのではなく、他のマイカーローンとよく比較した上で契約されることをお勧めします。
残価設定型クレジット
なお、ディーラー提携クレジットの金利に関しては各社でかなりばらつきがあるのですが、残価設定型のクレジット契約にすることで低く抑えられるケースもあります。
残価設定型クレジット(残クレ、残価設定ローンなどと呼ばれることもあります)はこのところディーラーでイチオシの契約形態。月々の返済分とは別に最終返済分として比較的大きな額を残し、その最終返済分は自動車の売却額で賄うという方法を取ります。
しかし、乗っている間の傷や故障などで契約時に見込んでいた売却額を大きく下回ってしまったり、事故で車を失って売却不可能になるなどのリスクがあるのがネック。
原状回復できる範囲内でしかカスタマイズができない、走行距離によって売却額が下がるなど、車が自分のものと言うよりはリースに近い感覚になってしまいます。選択には十分な検討が必要な契約方法だと言えるでしょう。
ポイント2:金利が高いマーカーローンの方が審査が甘い
ディーラー提携のクレジットに比べ、銀行などのマイカーローンは金利がかなり抑えられています。
非常に低いマイカーローンでは1%台から、高いもので5%以下の商品が多いようです。できれば低金利のローンを契約したいというのは誰もが思うところですが、しかし銀行のマイカーローンは審査がかなり厳しくなっています。
金利が低い分、銀行としては収入となる利息分が減ってしまうため、確実に返済してくれるであろう人にだけ貸そうとするからです。
マイカーローンに限らず、金利の低さと審査の厳しさとは比例関係にあると考えて間違いありません。
例えば、自動車購入費に限定される様々な用途のために使えるカードローンは、マイカーローンに比べて審査はかなり柔軟なのですが、金利はマイカーローンよりもかなり高めになっています。
「金利が少々高くなっても仕方がないので、とにかく審査の甘いローンに申し込みたい」という場合には、マイカーローンではなくカードローンを選択するのもひとつの手段ではあります。
JAのマイカーローンは例外?
金利の低さと審査の厳しさの比例関係には一部例外もあります。その例外の代表的なものがJAのマイカーローンです。
JAのマイカーローンはどこのJAで契約するかによって金利など商品内容が異なっているのですが、概ね銀行と変わらないかなりの低金利を実現しています。それにもかかわらず、審査が柔軟だと言われているのです。
ただし、審査が甘いと言われるのは組合員(主に農業従事者)に対してだけで、それ以外の利用者には他社と変わらず審査が厳しいという声も少なくありません。
これは一般利用者に対する場合と比べ、JAの組合員に対する情報の把握度が格段に高いからだと考えられます。そのため、農業従事者ならJAのマイカーローンはかなりの狙い目。一般の利用者なら条件次第ということになるでしょう。
JAのマイカーローンは農業従事者ではない方でも、出資金を支払うなど所定の資格、要件を満たすことで利用が可能です。詳しい内容はお住いの地域の各JAまでお問い合わせください。
信用情報に傷があるとマイカーローンの審査に通りにくい
どのようなマイカーローンが比較的審査に通りやすいのかをご紹介しました。しかしこれらは一般的な傾向であって、誰にでも通るローンがあるわけではありません。実際にはどのローンに申し込んでも審査に通らない人というのも存在するのです。
審査項目の中で重視されるものには、
・前年度の年収
・返済比率(年収に対する、他社借り入れも含めた年間返済額の割合)
・勤務状況
などがありますが、特に問題となりやすいのが信用情報についてです。これはこれまでの借り入れで長期延滞などのトラブルがなかったか、債務整理などをしていないかなどを信用機関が記録したもので、重大な金融事故に関してはその記録が5年間(場合によっては10年間)保持されます。
金融事故の情報をどの程度審査に取り入れるかはクレジット会社や銀行などによりますが、長期にわたる延滞や延滞を何度も繰り返したことがある方、債務整理の記録が消えていない方は銀行のマイカーローンにはまず通りません。
比較的審査の甘いディーラー系クレジットでも難しいことが予想されるため、連帯保証人を立てたり、マイカーローン以外の手段でお金を用意したりすることを視野に入れたほうが良いかもしれません。
逆にこれらの項目に自信がある場合(正社員で安定した職業についている方、年収や他社借入状況などに問題のない方など)は、銀行のマイカーローンに通る可能性も高いと言えます。
ディーラーに勧められるままのクレジットではなく、自分の納得できる好条件のマイカーローンを探してみてはいかがでしょうか。