高齢者でも住宅ローンの審査に通る?何歳までOK?

住宅ローンを組む際、年齢は審査に影響してくるのでしょうか?

基本的には働き盛りの30代前後が審査に通過しやすいとは言われていますね。

しかし、高齢者でも住宅ローンを組むことは可能です。

では、住宅ローンの審査に通過出来るのは、いったい何歳までなのでしょう?

今回は、住宅ローン審査に通過できる年齢や、高齢者が住宅ローン申し込みをする場合の注意点などについて解説します。

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住宅ローン審査基準

それぞれの金融機関では、住宅ローンの申し込みを受け付けると、以下のように様々な方向から審査を行います。

・申し込み条件の範囲内の年齢か
・完済時の年齢が定められた上限を超えないか
・安定した収入があるか
・勤務先の業績は安定しているか
・勤続年数は〇年以上か
・健康状態に問題はなく、団体信用生命保険に加入できるか
・保証会社の保証を受けられる方か
・日本国籍の方か
・外国人の場合は永住許可を受けている方か、もしくは特別永住者の方か
・収入に対する借り入れ額は妥当か
・他社からの借り入れはあるか
・過去の返済履歴に問題はないか、ブラックリスト入りではないか
・頭金の有無

もちろん、住宅ローン審査内容や方法は金融期間によって違ってくるので一概には言えないのですが、たいていはこのような内容をチェックし、審査を行っています。

そしてこれらの項目を総合的に見て、返済が可能だと判断された場合、審査通過となるのです。

ただしこれらの項目の中で「年齢」に関しては、どの金融機関でも真っ先に確認する傾向にあり、審査の上でも重視される部分でもあります。ですから、何歳で申し込みするかは少なからず審査結果を左右してしまうのです。

年齢に関しては、「申し込み条件の範囲内の年齢か」「完済時の年齢が定められた上限を超えないか」などを見られています。

では、「条件の範囲内の年齢」や「完済時の年齢の上限」とはどういうことでしょうか?
ひとつずつ見ていきましょう。

条件の範囲内の年齢とは?

住宅ローンの申し込み条件として、それぞれの金融機関では、「申し込み可能な年齢」を定めています。

例えば、「申し込み時の年齢:満20歳以上70歳未満の方」などという形でホームページや住宅ローンの広告などで公開されていますね。

基本的には満20歳~満70歳までと定めている金融機関が多くなりますが、20歳~65歳まで、20歳~69歳まで、などと設定している金融機関もあります。

65歳以上の高齢の方でも、その金融機関が定める範囲内であれば申し込み可能になります。つまり、高齢だからといって住宅ローンをあきらめる必要はないということです。

住宅ローンの申し込みをしようと考えた時、申し込む予定の金融機関の利用条件をチェックし、自分が申し込み可能なのかどうかを確認すると思うのですが、年齢については特に自分でチェックしやすい項目ですね。

申し込み条件の中に記されている年齢を満たせているかどうかチェックし、満たせていれば住宅ローンに申し込んでみましょう。

ただし、年齢についてはもう1つの条件もクリアしなければなりません。それは、「完済時の年齢が上限を超えないかどうか」という点です。

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住宅ローンを完済時の年齢の上限とは?

金融機関では、申し込み条件として年齢の範囲を設定していますが、更に完済時の年齢の上限についても定めているのです。

そして「最終返済時の年齢が満80歳未満の方」などという形で、申し込み可能な年齢と併せて金融機関のホームページなどで公開されています。

こちらも、完済時の年齢は満80歳までと定めている金融機関が多くなりますが、70歳までや75歳までなどと設定している金融機関もあります。

この時注意しなければならないのは、「返済期間」と「年齢」を照らし合わせて確認することです。

例えば、65歳で住宅ローンの申し込みをするとしましょう。

申し込み条件の中の年齢の範囲をクリアしていれば申し込み自体は大丈夫ですが、もし65歳から35年ローンを組もうとしているのであれば審査通過が難しくなってきてしまいます。

65歳で35年ローンを組むと、完済時の年齢は100歳になってしまうからです。

「完済時の年齢は満80歳」と定めている金融機関に申し込みをするのであれば、65歳で申し込みをした段階では条件クリアだとしても、希望の返済期間が16年以上だった場合、定められた完済時の年齢をクリアすることが出来ないために審査に通過することが出来なくなってしまいます。

この場合は、返済期間を15年に短縮しなければなりません。

「完済時の年齢満80歳」だけを見てみるとそれほど厳しい条件ではないように感じますが、35年ローンを組み、この条件をクリアすると考えると、45歳までに申し込まなければならないという事になりますね。

45歳までにはマイホームを取得し住宅ローンの返済を開始しなければならないと考えると、厳しいと感じる方も多いかもしれません。

金融機関が、この様に完済時の年齢を定めているのは、以下の様な理由からです。

①返済負担

多くの企業では65歳を定年としています。すると収入源は年金のみになってしまいますね。定年退職後も別の仕事をする方もいますが、それでも今までより収入が落ち込むのが普通です。

年金収入のみになってしまう場合、わずかな収入の中からローン返済分を捻出するのは大変ですし、他の仕事があったとしても、それまでより収入が少なくなっているのであれば、やはり今まで通り返済を継続していくのは難しくなっていくでしょう。

もちろん定年退職がない企業もありますし、個人事業で繁盛している場合は高齢でも高収入が期待できるかもしれません。また、繰り上げ返済をしていくことで期間を短縮することは可能です。

しかし、高齢になっても多くの収入が得られる方はそれほど多くはないですし、誰もが定期的に繰り上げ返済を行えるわけではありませんね。

そのため、高齢になったときの返済負担を考え、完済時の年齢に制限をかけているのです。

②団体信用生命保険

団体信用生命保険とは、ローン契約者が万が一亡くなったり高度障害状態となり、返済不能となってしまった場合に保険金でローンを全額完済させることが出来るものになりますね。

この保険に加入しておくことで、残された家族に債務を引き継ぐ必要がなくなりますし、金融機関も融資したお金を保険金で回収することが出来るため、ほとんどの銀行では住宅ローンを組む際、団体信用生命保険の加入を義務付けています。

この団体信用生命保険の加入条件は、引き受ける保険会社によっても若干違ってきますが、たいていは「20歳~70歳までの申し込みで、完済時年齢が満82歳未満の場合」と定められています。

そのため銀行でも、団体信用生命保険に加入できるよう、加入条件に合わせて申し込み年齢も定めているのです。

住宅ローン 審査通過しやすい年齢

基本的には、働き盛りの20代後半~40代前半の方が審査に通過しやすいと言われていますが、上記のように完済時の年齢も考えると、「20代後半~45歳まで」と考えた方がいいかもしれませんね。

この年齢の方が住宅ローン審査に通過しやすいのは、以下の様な理由からです。

・働き盛りで勤続年数が十分な傾向にあるため。
・仕事が安定し、責任あるポジションの可能性も高いため。
・収入面でも安定し、返済能力もあると考えられるため。
・転職の可能性が低いため。
・35年ローンを組んでも完済時の年令が80歳未満となるため。

また家庭を持ち子どもが生まれ、ちょうど住宅を取得しようかと考えるのも30代前後の方が多いですね。申し込み者数も30代前後の方が一番多いことから、これくらいの年齢の方の審査通過率も高いのです。

住宅ローン 審査通過しにくい年齢

審査に不利になりやすいのは、高齢者(65歳以上)と若年者と言われています。

若年者は審査が厳しくなる

20代前半の若年者は就職して間もない方が多くなりますね。この場合、仕事も安定していない状態で、まだ責任あるポジションも与えられていないために収入も少ない傾向にあります。

また、転職の可能性も高いと考えられるため、不安定さを感じることから審査通過が難しくなるのです。

しかし、収入が高く安定していて、勤続年数3年以上の場合は他の審査項目で問題がなければ利用可能でしょう。

高齢者も審査が厳しくなる

高齢者については、やはり完済時の年令や定年退職の予定などによって審査が左右されてしまいます。

完済時の年齢が80歳を超えるようであれば審査通過は難しくなりますし、例え80歳までに完済できるとしても、定年退職となる予定の場合、その後の収入は年金だけが頼りだというのであれば、やはり返済能力の面で懸念がありますね。

定年を迎えてから急激に収入がアップするということも考えにくいため、高齢者が住宅ローンを申し込み、スムーズに審査に通過する可能性は低いと言えるのです。

ただし、職業や資産によっては、審査状況が変わっていきます。

例えば、以下の様なケースは、金融機関にとって好印象となります。

・預貯金がしっかりある。
・個人事業主だけれど繁盛していて老後も安定した収入が得られる。
・健康状態が良く、定年退職のない職種。
・価値の高い不動産等の資産がある。
・現段階の収入に対して無理のない借り入れ額や返済額で、定年退職前に完済予定である。

この様に、返済計画に問題がないと考えられる場合は、金融機関の受取る印象も良くなるため、審査通過の可能性が高まります。

高齢で住宅ローンを検討している場合は、以下の様な点に注意して申し込みをしてみましょう。

①返済期間を調整
金融機関が定めている完済時の年齢を超えてしまうと申し込み出来なくなってしまうので、超えていないかどうか、今現在の年令に希望の返済期間を足して計算してみましょう。
②返済額が妥当か確認
申し込み時の年齢が高いと、定められた完済時の年齢を守ることで、返済期間が短くなってしまいます。期間が短くなるという事は、それに合わせて返済額が増えていくことになります。増加した返済額を今後毎月支払っていくことが出来るのかどうか、確認しておきましょう。

③借り入れ額の調整
高齢になってからローンを組む場合は、払いきれると考えられる金額だけを借り入れするようにしましょう。可能であれば、頭金を入れるなどして、借り入れ額を減らしておくと審査通過の可能性も高まりますし、今後も安心です。

④預貯金の用意
住宅購入前から、可能な限り預貯金の準備をしておくと安心です。預貯金があると頭金に回すこともできますし、今後収入が落ち込んだ時にも生活費として利用することが出来ます。

⑤老後の収入を把握
定年退職後、年金収入のみなのであれば、年金受給額はどれくらいになるのか把握しておくと、返済額と照らし合わせて返済可能かどうか予想することが出来ます。

また年金以外の収入や、資産、預貯金などがあるのであればその額もある程度把握しておくとローンを組みやすいですね。

このような点を自分で把握し、返済計画を立て、金融機関にも明確に伝えることが出来れば、金融機関にとっても不安材料が消えるため、審査通過しやすくなります。

高齢者にお勧めの住宅ローン借り入れ方法

高齢者が住宅ローンを組む場合、一般的な住宅ローンの他にも、以下の様な借り入れ方法を利用することが出来ます。

一般的な住宅ローンよりも審査の通過率は上がるため、どうしてもローンを組みたい場合は以下の様な方法も検討してみることをお勧めします。

①親子リレー返済

高齢で住宅ローンを検討している場合は、親子リレー返済も視野に入れてみてはいかがでしょう?

親子リレー返済を利用すると、途中でローンを親から子へ引き継ぐことが出来ます。

退職前は親が返済を行い、退職して年金生活となったら子へ引き継ぐなど、前半と後半に分けて親子2世帯で住宅ローンを返済していくことになるので、親は老後の心配が不要になりますし、子は1人で住宅ローンを組むよりも負担が抑えられるため、お互いにとってメリットが高い方法と言えるでしょう。

また、返済期間は子供の年齢に合わせて設定することが可能なので、親が高齢でも、子どもが45歳以下であれば35年でローンを組むことが出来ます。

更に収入も合算することが出来るので、1人で住宅ローンを組む場合よりも借り入れ可能額を増やすことが出来ますね。

ただし、利用条件として「一緒に住むこと」と定めている金融機関が多いため、主に二世帯住宅等を建設予定の方が利用する傾向にあります。(フラット35の場合は、同居していなくても、同居の予定がなくても親子リレー返済利用可能です)

また、親も子も債務者となるため、どちらに対しても年齢以外の部分についても審査が行われます。年齢が条件の範囲内だとしても、他の部分で条件を満たすことが出来なければ審査に通過することが出来ません。

例えば、他社の借り入れが多かったり、過去に延滞履歴がある、収入が安定していない、収入に対して借り入れ額が大きすぎるなど、不安材料が多いと審査通過が難しくなってしまうので、気を付けましょう。

②リバースモーゲージ

高齢者を対象としたリバースモーゲージという融資もあります。

リバースモーゲージと言うのは、持ち家を担保として融資を受ける制度ですね。

年金生活になったときの生活費や医療費などの足しにするために、住み慣れた家を担保として提供し、毎月必要額の融資を受けることが出来るという、高齢者を対象とした融資になります。

高齢になるとなかなか簡単には借り入れができないため、リバースモーゲージは高齢者の間で人気が高まっています。

このリバースモーゲージは、一見、持ち家がないと利用できないように感じられるかもしれませんが、実は持ち家がなくても利用することができます。

金融機関によっては、新しく物件を購入し、その物件の購入資金として利用することもできるのです。

高齢の方で、これから家を購入したい、住宅ローンを組みたいと考えている場合は、リバースモーゲージを利用する方法も検討してみてもいいかもしれませんね。

ただし、リバースモーゲージの場合、以下のようにいくつかの問題点があるので注意が必要です。

申し込み者が亡くなった時点で抵当権実行

物件を担保に融資を受けている間、元金の返済は一切ありません。それは、申し込み者が亡くなった時点で抵当権が実行されるという約束のもとでの融資だからです。

申し込み者が亡くなると、抵当権が実行され、物件は金融機関が引き取り売却し、売却額で融資したお金を回収する仕組みとなっています。

そのため、家族に家を遺すことが出来なくなってしまいます。リバースモーゲージを利用するためには、家族の理解も得る必要がありますね。

50%~70%の融資

リバースモーゲージでは、担保となる物件の評価額の50%~70%程度までしか融資してもらうことが出来ません。

持家を担保として生活費の融資を希望している場合は、生活に必要なお金を受取ることが出来れば評価額の50%程度の融資でも問題ないかもしれませんが、家を新しく購入する場合は、50%程度では購入することが出来ませんね。

そのため、足りない分は預貯金などの自己資金で賄わなければならなくなります。ある程度のまとまった預貯金がないとリバースモーゲージの利用は難しいかもしれません。

リバースモーゲージの金利が高め

金利は金融機関によって違ってきますが、たいていは3~4%程度と少し高めになっています。

ただし、生きている間の元金の返済は一切ありません。

金融機関によっては、生きている間は利息のみの支払いと定めている場合などがありますが、利率が多少高くても、元金と利息の両方を支払う住宅ローンよりは月々の負担を抑えることはできるでしょう。

この様に、高齢であるという事は住宅ローンを組む上で不利となってしまう点は拭えませんが、高齢だからこそ組むことが出来るリバースモーゲージや親子リレー返済などもあります。

また、住宅ローンの審査では、年齢だけではなくその他の様々な項目も全てチェックし、総合的に評価しています。そのため、働き盛りで収入が安定していても審査に通過出来ないこともありますし、65歳を超えた高齢の方でも住宅ローン審査に通過出来るケースももちろんあります。

一般的な住宅ローンを利用する予定なのであれば、まずは年齢以外の項目で合格点をもらえるよう、頭金を用意する、他社の借り入れを無くすなど、可能な限り努力できることはしておきましょう。

そのうえで、定年後の返済計画をシッカリ考える必要があります。

定年がない職種であれば問題ありませんが、定年退職をする予定の場合、老後は年金生活となってしまいます。年金の額はどれくらいか、その中からの返済は可能なのかどうか、しっかりと計算しておきましょう。

また、老後は旅行したい、趣味に没頭したい等、生活費と返済の他にも使い道を予定している場合は、それが可能なのかどうかも検討する必要がありますね。

もしかすると年金額や返済額によっては、老後の楽しみとしていた趣味をあきらめなければならなくなるかもしれません。

高齢で住宅ローンを組む場合は、働き盛りの間にローンを組むよりも制限されてしまうことが増えるので、それでもローンを組むべきかどうか、実際に返済が開始されたことも想定して、慎重に検討することが大切です。

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