マイカーローン 固定金利or変動金利どっちで借りる?
マイカーローンには固定金利型の商品と変動金利型の商品とがあります。はじめからどちらのタイプなのかが決定されているものもありますが、中には固定金利にするか変動金利にするかを自分で選択できるマイカーローンもあり、どちらにしたら良いのかは大いに迷うところです。
固定金利と変動金利にはそれぞれどのような特徴があり、マイカーローンの場合にはどちらでお金を借りる方がより有利なのか?を考えてみることにしましょう。
マイカーローン 固定金利と変動金利の違いとは?
固定金利型のマイカーローンでは、契約の際に決められた金利は完済時まで変わることがありません。例えば3年ローンであれば1回めの返済から36回めの返済までが一律の金利で計算されています。
一方の変動金利型のマイカーローンでは、ローン業者が定めた期間ごとに金利の見直しが行われます。もしも契約時から金利の変更があった場合には、事前に想定していた支払利息と最終的に支払うことになる利息の間にズレが生じることになります。
見直しの期間は半年ごとというケースが多く、短期プライムレートに連動して金利が決められるのが一般的です。
住宅ローンでは最初の10年間は固定金利でその後変動金利となる商品も存在しますが、マイカーローンは完済までが住宅ローンほど長くかからないため、そうしたミックス型の商品はありません。
固定金利型のマイカーローン メリットとデメリット
固定金利型マイカーローンのメリットは、なんと言ってもわかりやすさにあります。返済総額が事前に明確な数字として表すことができるため、完済までにどのように返済していけば良いのかイメージしやすく、計画も立てやすいというメリットがあります。
ただし、変動金利型と比べるとやや金利が高く設定されており、当然支払利息の負担がその分大きくなります。この点が固定金利型のデメリットだと言えるでしょう。
変動金利型のマイカーローン メリットとデメリット
変動金利型のマイカーローンは固定金利型に比べてスタートの金利が低く設定されています。そのため、完済時までに金利が変わらなければ支払利息を少なく抑えることができるメリットがありますし、金利が低く変動すれば当初の予定よりもさらに得をすることになります。
しかし逆に言えば、高く変動してしまった場合には利息の負担が大きくなってしまいます。金利が変動するかどうかは誰にもわかりません。先が読めないために最終的に返済総額がいくらになるのかがわからず、返済計画が立てにくいというのが変動金利型の大きなデメリットだということになるでしょう。
さらに言うなら、最終的に金利が上昇しなかったとしても、「もしかしたら金利が上がるかもしれない」というリスクを常に抱えながら返済していかなければなりません。利用する方によっては安心感がないのが一番大きなデメリットになる可能性もあるわけです。
固定金利と変動金利のマイカーローン お得にお金を借りられるのは?
このように、マイカーローンの固定金利型商品と変動金利型商品にはそれぞれにメリットとデメリットとがあります。ではどちらでお金を借りる方が良いのかを考える上で、それぞれの内容について詳しく比較してみることにしましょう。
固定金利・変動金利でどの程度差が出てくる?
マイカーローンを選ぶ際の頭を悩ますポイントになるのが、固定金利型商品と変動金利型商品の金利差です。ということで、実際に主な商品の金利差を調べ、それが返済額にどの程度の影響を与えるのかを調べてみました。
※主なマイカーローンの金利(2018年9月現在)
業者名 | ローン名 | 固定金利 | 変動金利 |
三菱UFJ銀行 | ネットDEマイカーローン | – | 2.5%(*1) |
みずほ銀行 | 多目的ローン | 6.7% | 5.875% |
三井住友銀行 | マイカーローン | – | 4.475% |
りそな銀行 | マイカーローン | – | 4.475% |
関西アーバン銀行 | マイカーローン | 2.45%~3.55 | 1.40%~3.30%(*7) |
横浜銀行 | マイカーローン | – | 1.3~2.1% |
JAバンク(*2) | マイカーローン | 2.80%~3.20% | 1.85%~2.25% |
JAバンク(*3) | マイカーローン | – | 1.650%~5.125% |
JAバンク(*4) | マイカーローン | 2.45%~3.55% | 1.95%~3.05% |
中央ろうきん | カーライフローン | 2.9%(*5) 3.900%(*6) |
2.4%(*5) 3.675%(*6) |
損保ジャパン日本興亜 | ジャパンダネットマイカーローン | 1.90~2.85% | – |
*1:200万円超~500万円以下の場合
*2:関東エリアの一例
*3:関西エリアの一例
*4:中国エリアの一例
*5:団体会員の構成員の方
*6:一般の方
*7:5年以内の場合
このように、銀行のマイカーローンでは変動金利のみを取り扱うところが多いのですが、固定金利と変動金利を自分で選べるものもいくつか存在しています。
そして筆者が調べた範囲内では固定金利のみの商品は損保ジャパン日本興亜の「ジャパンダネットマイカーローン」だけで、こうしたタイプの商品は比較的珍しいことがわかります。
固定金利、変動金利のいずれかを選べる商品の金利を見てみると、固定金利のほうがどれも高く設定されており、多くが0.3%から1%程度の金利差に設定されています。この金利の差が返済する際にどのくらいの差額となって現れてくるのかを実際の例で計算してみましょう。
ここでピックアップしたのは中央ろうきんのカーライフローン。上記の中で変動金利、固定金利の差が0.5%と平均的である団体会員の構成員の方の金利を例に計算しました。借り入れ額は300万円、これを元利均等方式にて5年間(60回)で返済するものとします。
金利種類 | 毎月の返済額 | 総返済額 |
固定金利(2.9%) | 53,772円 | 3,226,348円 |
変動金利(2.4%) | 53,109円 | 3,186,565円 |
差額:39,783円
このように、金利が0.5%高くなる固定金利を選んだ場合には、4万円ほど支払利息が増える計算になりました。
この差額は、借り入れ額、返済回数、金利差が大きくなればなるほど広がり、逆に小さくなれば差も少なくなります。こうした差額を大きいと見るか、それほどでもないと見るかが判断の分かれ目になると言えるでしょう。
※上記はCASIOが運営するサイトで計算したものです。
あくまでも簡易的なもので、実際のローンとは誤差が出ることをご了承ください。
金利変動のリスクをどう考える?
変動金利型を選択した場合に気になるのが金利上昇リスクです。マイカーローンの金利は短期プライムレートに連動しているというのはさきほどご紹介したとおりなのですが、短期プライムレートを決めるもととなる”景気が良くなるのか悪くなるのか”は、経済のプロでもわかりません。こればかりは、そのときになってみないとわからないというのが実際のところなのです。
ただ、参考にできる資料として、短期プライムレートがこれまでどういう推移をたどっているのかを、日本銀行のサイトで確認することができます。
短期プライムレートの最頻値が最後に変動したのは2009年1月13日で、1.475となっています。それ以降は2018年現在の約10年間にわたって変動がありません。それ以前のデータを見てみても、平成7年以降はずっと1%台をキープしている状況です。
このデータを見る限り、現状では金利の上昇リスクは比較的少ないように見て取れます。
マイカーローンは固定金利、変動金利のどちらが良いのか
ではマイカーローンを利用する場合に固定金利と変動金利のどちらを選ぶと良いのでしょうか。その結論は利用する方の考え方やローンの内容、条件、収入などによっても異なってきます。
まずシンプルな考え方として、先ほど0.5%の金利差で約4万円の利息の差が出てくる例をご紹介しましたが、これを高いと感じる方は変動金利、安いと感じる方は固定金利を選ぶという方法があります。
この例だと「5年間の安心を4万円で買う」と解釈することもできるでしょう。完済までの期間、もしも変動リスクが心理的に大きな負担となってしまうようなら固定金利を選ぶことをお勧めします。
そしてもうひとつの考え方として、ご自身の条件によってある程度の線引きをすることも可能です。
例えば、
・借り入れ額が年収の半分以下であれば変動金利型、半分以上であれば固定金利型
・返済まで5年以下であれば変動金利型、それより長ければ固定金利型
などの例が考えられます。
現状として、マイカーローンといえば変動金利型商品を選ぶ方が多くなっています。それは単に変動金利型商品の数が多いということもありますが、金利が上昇するリスクは比較的小さいのではないかと考える方が多いからなのではないでしょうか。
ただその判断は難しいところです。短期プライムレートは2018年9月現在、1.475で長期間変動がない状態が続いています。「もう10年も変わっていないのだから、これからも変わらないだろう」という見方ももちろんできるのですが、逆に「10年変わらない例はこれまでないのだから、そろそろ変動があるころでは?」という見方もできます。
また、現在の数字はこれまでの数字と比べるとかなり低い部類に入ります。もちろん今後さらに下がる可能性がないわけではありませんが、上昇する可能性がないとは言えません。
ただ、完済までに30年以上を要すような住宅ローンとは違い、マイカーローンは3年から5年の期間で組まれるケースが多いのが考えどころです。仮に上昇したとしてもそれほど大きな変動にはならないのではないかと想像することができるからです。
これらの兼ね合いをどう考えるかは難しい選択ではあるので、ぜひ柔軟な見方を持って考えたいところです。
固定金利型でも低金利のマイカーローンも
一般的には固定金利型よりも変動金利型商品のほうが低金利ですが、損保ジャパン日本興亜の「ジャパンダネットマイカーローン」のように固定金利型でありながら1.90~2.85%と、他社の変動金利型商品を上回るような低金利を実現しているものもあります。
また、普段お使いの銀行でマイカーローンを契約する場合だと、利用状況によって金利が優遇され、固定金利でもかなりの低金利になる商品も少なくありません。時期によっては期間限定のキャンペーンなどがあり、普段の金利よりも大幅に優遇されるケースもあるでしょう。
固定金利型と変動金利型の支払利息にどの程度の差が出てくるのかをしっかりシミュレートすべきなのはもちろんですが、ぜひアンテナを広く張って、情報収集に務めることをお勧めします。一見不利な固定金利型のマイカーローンでも、意外なタイミングで有利な条件で登場することも決して皆無ではありませんよ。