奨学金(日本学生支援機構)の返済期間・回数
奨学金(日本学生支援機構)には返済義務のない「給付型」と返済義務のある「貸与型」とが存在します。
一般的に「奨学金」というシステムは「給付型」よりも「貸与型」の方が多くなっていて、「貸与型」でお金を借りた場合は、卒業後に確実に返済していくことが義務となります。
奨学金を利用してお金借りる時には、借りる額や期間ばかりに目がいってしまうものですが、返済していく期間や回数、返済額に関してもきちんと理解しておくことが大切です。
返済計画をしっかりと立てておくことで、卒業後の不安も減るでしょう。
日本学生支援機構の奨学金の返済期間・回数
日本学生支援機構の奨学金の返済は、卒業後の7ヶ月目の月の27日から始まります。
月々の返済額や返済の期間については、奨学金の貸与額によって決まりますので、一律で「月々◯円を◯年間で返す」とは言えません。
日本学生支援機構の奨学金については、返還する方法によっても異なりますが、いずれの方法でも最長で20年となっています。
所得連動返還方式(第一種奨学金のみ)を利用する場合
前年の所得額によってその年の月ごとの返済額が決まる返済方法で、平成29年度以降に第一種奨学金を利用した人が対象です。
返済方法は月賦返還のみです。月賦・半年賦併用の返還はありません。
所得額や貸与総額で返済額も変わってくるため、その返済の期間(回数)は一律ではありません。
地方税の課税対象所得に9%をかけて12(ヶ月)で割った額(1円未満は切り捨て)が返済月額となります。返済開始月から起算して1年以内の10月に返済する返済月額から毎年見直しされます。
前年の所得に連動となりますが、前年の所得が0円の場合は2,000円(最低月額)が返済月額となります。
ただし、卒業後の返済開始になった月から起算して1年以内の9月までは、貸与総額に応じて計算された半分の額が毎月の返済額となります。
定額返還方式(第一種奨学金)や第二種奨学金の場合
毎月定額を返済していく方法ですが、日本学生支援機構では、さらに月賦返還と月賦・半年賦併用返還とがあり、選択できます。
返還誓約書にて選択した方法(月賦返還または併用返還)は原則変更はできません。
返済の期間(回数)は、貸与総額や返済の方法によって決まります。
第一種と第二種を併用し貸与を受けていた人で貸与期間終了年月が同じ場合は、両方の貸与額を合計した額が貸与総額となりそこから返済年数(回数)を割り出します。
月賦返還の場合
貸与額を返済回数で割った額を返済していきます。
返済年数は、月賦返還借用金額を「奨学金返還年数算出表」にある割賦金の基礎額で割ることで求められます(小数点以下は切り捨て)。その年数を12倍にすると返済回数となります。
借用金額は返済回数に応じて均等に返済していきます。
月賦・半年賦併用返還の場合
返済額の半分は毎月定額で返済し(月賦)、残りの半分は半年ごと、つまり年に2回(1月と7月)に分けて返済(半年賦)していきます。
通常のローンでいうところのボーナス払いを併用したタイプのような返済方法で、該当月の27日に月賦分と合計した額が引き落としされます。
月賦に相当する分の返済回数は、上記の月賦返還の場合と同じです。
半年賦に相当する分について、返済年数は、借入金額を「奨学金返還年数算出表」にある割賦金の基礎額で割ることで求められます(小数点以下は切り捨て)。その年数を2倍にすると返済回数となります。
借用金額は返済回数に応じて均等に返済していきます。
<奨学金返還年数算出表>
貸与総額(借用金額) | 割賦金の基礎額 |
200,000円以下 | 30,000円 |
200,001円~400,000円 | 40,000円 |
400,001円~500,000円 | 50,000円 |
500,001円~600,000円 | 60,000円 |
600,001円~700,000円 | 70,000円 |
700,001円~900,000円 | 80,000円 |
900,001円~1,100,000円 | 90,000円 |
1,100,001円~1,300,000円 | 100,000円 |
1,300,001円~1,500,000円 | 110,000円 |
1,500,001円~1,700,000円 | 120,000円 |
1,700,001円~1,900,000円 | 130,000円 |
1,900,001円~2,100,000円 | 140,000円 |
2,100,001円~2,300,000円 | 150,000円 |
2,300,001円~2,500,000円 | 160,000円 |
2,500,001円~3,400,000円 | 170,000円 |
3,400,001円以上 | 総額の20分の1 |
毎月5万円の奨学金を4年間(48ヶ月)で総額240万円の貸与を受けた場合
貸与総額240万円÷割賦金の基礎額16万円=15年が返済年数
15(年)×12(ヶ月)=180回が返済回数
現役で大学に入学し、大学4年間に奨学金の貸与を受けたとします。
社会人1年目に23歳となり、上記の例のように180回の返済回数で15年間返済を続けると、返済が終わるのは38歳です。
15年という年数だけを見るとそんなものか、と思えたとしても、年齢で考えるとどうでしょう。
38歳といえば、結婚し家庭をもち、子供もいて子供への教育費がかかって来る頃かもしれません。30代という年代にかかる奨学金の返済を、返済年数や回数を知ることで、現実問題として捉え考えておくことは大切です。
<参考>:日本学生支援機構 返還期間(回数)
無利子の第一種奨学金の場合は計算もしやすくなりますが、利子がつく第二種奨学金では計算もややこしくなり分かりづらくなりますね。
日本学生支援機構のホームページでは奨学金の返還シミュレーションができます。
返済月額や、返済期間や回数などが把握できますので、ぜひ利用しましょう。
奨学金の返還方法の変更
機関保証を選択している場合に、定額返還方式から所得連動返還方式へ変更することができます。
人的保証を選択してる場合には機関保証に変更したうえで返還方法を変更できますが、その場合は保証料を保証機関へ一括で支払わなければなりません。
返還期間の変更
上記のように、貸与総額により返済する期間や回数が決まりますが、例えば大学と大学院と両方で日本学生支援機構の奨学金を利用した場合は、「奨学金返還期間変更願」を提出して貸与額を合計して再計算し、返済の期間を変更することができます。
ただし、機構の奨学金の返済期間は最大で20年となっていますので、すでに20年の返済期間となっている場合に関してはそれ以上に延長することはできません。
この「奨学金返還期間変更願」の提出ができるのは、口座加入手続きが終了して、延滞をしていないことが条件となっています。
<参考>:日本学生支援機構 返還期間の変更
奨学金の返済期間は短い方が良くて長くなるほど悪い?
日本学生支援機構の第二種奨学金には利息がかかってきます。利息を支払うのがもったいない、と思いますね。
1日でも早く返済を終わらせて利息分を浮かせたい、と思う人もいるかもしれません。
しかし、日本学生支援機構の利息は他の一般的なローンよりも安く設定されています。なので、早く返してしまった方がお得、とは一概には言い切れません。
奨学金 繰上返済のメリット・デメリットでも記載したように、ライフプランに合わせて、奨学金は急いで返さず、敢えてのんびりと返していくという選択肢もあります。
自分の生活にはどちらがあっているか、よく吟味して返済プランを考えていきましょう。
返済が始まったあとも、返済状況はこまめにチェックし残高や残回数等を把握しておくことをお勧めします。
奨学金が返せなくなったらどうなる?に記載したように、日本学生支援機構では返済困難者への救済措置の用意もあります。
仕事が変わり給与が大幅に減ってしまった、病気やけがで長期入院を強いられてしまった、など今までと変わらずに返済していくことに不安を感じたときは、必要であれば機構に相談し返済プランの変更をするなどしましょう。
返済を滞らせることだけは絶対にしてはいけません。