生命保険キャッシング(契約者貸付)とは?
生命保険に加入している場合、この保険を担保にお金を借りられる制度があります。それを生命保険キャッシング、もしくは契約者貸付と言います。
キャッシングと言っても、通常のキャッシングやカードローンとは内容が大きく異なってきます。
そこで今回は、この生命保険キャッシングについて詳しくお話していきたいと思います。
1.生命保険キャッシング(契約者貸付)とは?
自分がかけている生命保険が、契約者貸付制度の対象である場合、満期の時に戻ってくる金額(解約返戻金)の内、一定範囲内でお金を借りることができる制度のことを「生命保険キャッシング(契約者貸付)」と言います。
一般的に、貯蓄型の終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険などの積立保険がこの対象に当たります。逆に満期解約時に返戻金がない掛け捨てタイプでは、この契約者貸付は利用出来ません。
通常、保険と言うのは、「純保険料」と「不可保険料」に分けられています。「純保険料」と言うのは実際の保険料に該当する部分のことで、「不可保険料」と言うのは、保険会社の経費等を賄うための保険料です。そして、「純保険料」と言うのは、掛け捨てと積み立てに分けられます。
少ない保険料で月々の支払いを軽くして保障を得るのが掛け捨てタイプ、高めの保険料で、保障も確保した上で、満期解約時に返戻金があるのが積み立てです。
この積み立てを選択し、高めの保険料を支払っている場合、保険契約はそのまま維持した状態で、積み立てとなる部分を借りるというのが契約者貸付制度です。
限度額は、その保険会社によって違いはありますが、たいていは満期時に戻ってくる金額の約70%~90%までとなっています。
しかし、保険を契約してからまだそれほど日数が経過していない場合、解約金もわずかであるため、この貸付制度を利用出来ない場合もあります。
一度保険会社に問い合わせてみましょう。
2.生命保険キャッシング(契約者貸付)を利用するには?
まず、自分のかけている保険が積立保険であり、契約者貸付制度の対象かどうかの確認をしましょう。そして、借りたい金額が、満期時に戻ってくる額(解約返戻金)の90%以下かどうか確認しておくことも重要です。
この点で問題がない場合、厳しい審査もなく貸付制度を利用することが出来ます。と言うのは、自分の払い込んでいる保険を担保としているからです。
申し込みを行いたい場合は、保険会社の窓口、電話、インターネットなどから可能となります。
電話、窓口からの書類申し込み
電話や窓口などから申し込む場合は、書類での手続きとなります。
貸付制度利用の希望を電話もしくは窓口で伝えると、申込書類が送付されてくる(もしくは窓口で受け取る)ので、必要事項を記入のうえ、以下の手続きに必要な書類と併せて保険会社へ提出しましょう。
書類提出も、窓口で直接行なってもいいですし、郵送でも手続き可能です。
手続きに必要な書類は以下の通りです。
・加入している保険の保険証券
・保険契約時に使用した印鑑
・本人確認書類(免許証などの写し)
・その他(その保険会社によって、別の書類が必要の場合もあります)
提出した書類を保険会社で確認し、内容に不備がないと判断されると申し込み完了です。1週間程度でお金も振り込まれるでしょう。
契約者貸付ネット申し込み
インターネットから申し込む場合は、保険会社のホームページを開き、契約者貸付の申し込み画面に必要事項を入力します。この際、自分の貸し付け可能額も確認して置きましょう。
入力し送信すると、手続き完了のメールが保険会社から届きます。最短で、その日のうちにお金が振り込まれる場合もあります。
早急にお金が必要な場合はネット申し込みをした方が便利でしょう。
その保険会社によっては、必要書類や限度額も違う場合があります。申し込むには何が必要なのか、いくらまで借入可能なのか、利用している保険会社に確認しておくことが大切です。
3.生命保険契約者貸付の利息
消費者金融等のキャッシングとは違うものの、お金を借りるという点では変わりないので、当然借りたお金に対して利息はついてきます。利率は保険会社によって違ってきますが、一般的には3%~6%と言われています。
4.生命保険契約者貸付の返済方法
・全額一括返済
保険契約期間内であればいつでも、元金と利息全額が用意できたときに一括で支払うことが出来ます。
・一部返済
元金と利息を、支払える時に少しずつ支払っていく方法です。その保険会社によって1000円以上などと最低返済額を決めている場合もあるので、利用している保険会社に問い合わせてみましょう。
・毎月返済
毎月決められた返済日に少しずつ支払っていく方法です。一部返済と同じで、最低返済額が決められている事が多いです。返済日も決まっているので確実な返済をしたい場合に便利です。
・利息のみ返済
利息がどんどん膨れ上がっていくのを防ぐために、増えた利息分だけを支払っていき、まとまったお金が用意できたときに元金だけを一括返済するという方法もあります。
支払方法は、窓口で直接支払うことも出来ますし、口座振替、カードを使ってATMからの入金、振込用紙を使っての振込等様々です。
5.契約者貸付のメリット・デメリット
契約者貸付のメリット
・審査がない
他のキャッシングと違って、自分の保険を担保として借りるので、厳しい審査などがないのは便利です。借りられるかどうか、審査に通るかどうかという心配がないですね。
・手続きが簡単
通常、ローンや借入となると審査が必要となり、審査に通過したら契約書を交わすなどの段階を踏んでいかなければなりません。しかし契約者貸付の場合は申込書に必要事項を記入するだけで完了してしまいます。手軽で便利ですね。
・低金利
消費者金融のキャッシングや銀行カードローンなども手軽な借り入れですが、14%~18%程度の金利がかかるのがほとんどです。その点から比べるとこの契約者貸付は3%~6%と、とても低金利になっています。
・返済に決まりがない
必ず返済しなければならない、いつまでにいくら用意しなければならないという決まりはありません。自分でどのように返済していくか決めることが出来、最悪支払うことができなくても、解約返戻金がなくなるだけなので、保険会社もリスクがありません。お互いにいいとこどりができます。
契約者貸付のデメリット
・借りられるのは契約者のみ
被保険者と契約者が異なっている場合、貸し付けを利用できるのは、契約者のみです。被保険者が保険に加入しているからと借り入れ申し込みしても受理されません。
・契約失効の危険性も
返済がいつまでも終わらないと、解約返戻金の90%以内の貸し付けでも、いつの間にか利息分が膨れ上がり、解約返戻金を超えてしまう場合があります。
すると保険会社から「いつまでにいくら返済してください」と言う内容の通知が届きます。この支払を守らなければ、保険の契約自体を失うことになります。
せっかく保険を解約せずに借入したのに、これでは意味がありませんね。解約返戻金を超えない額内であるよう、返済をしていくことも大切です。
・保険満期時、返戻金を差し引かれる
保険満期時、せっかく積み立てした返戻金を期待していても、それまでに元金と利息の返済が終わっていなければその金額が返戻金から差し引かれてしまいます。
子供の学資保険として積み立てたはずのものも、受け取りたい時に受け取れなくなってしまう可能性があります。
・利率が複利で適用
通常ローンと言うのは、元金に対して利息が付けられます。しかし、この契約者貸付の場合は元金と利息の両方合わせた額に利息がつけ加えられていく複利型なのです。
100万円借りた場合、5%の利息がつくと、その年は105万円になりますが、翌年は105万円に対しての5%の利息が上乗せされていくという仕組みです。ですから返すのが遅くなればなるほど利息はどんどん膨れ上がっていってしまいます。
低金利だからと言って安心もしていられないですね。
この様に、貸付制度には、必ずメリットもあればデメリットもあります。このことをしっかり踏まえたうえで、どうしてもお金が必要な時、貸付制度を利用するか否かきちんと考えてから行動するようにしましょう。