生活保護中でもカードローンの審査に申し込める?
基本的にローンと言うのは、安定した収入のある方が、金融機関側の審査を受け、返済能力があると判断された場合に契約を交わし、融資してもらうというものです。
ですから、最低条件ともいえる、安定した収入がない状態ではローンは組めないと考えられていました。
しかし、最近は、「安定した収入がないからこそ、急な出費に対応するためにローンを利用したい」と考える方が増えているのが現状です。
その為、金融機関側もそういったニーズに応えるために、様々な手法で収入のない方への貸し出しを行っています。
例えば、専業主婦などの収入のない方へは、その配偶者の収入が安定していれば、それを元にして借入可能とするケースもあります。万が一返済が出来なくなったとしても、夫が保証人の様な形となり、支払いに応じることを見越しての貸し出しでしょう。
また、限度額を低くしたり、利率を高めにして、リスクが高いものの回収できれば大きな利益が見込めるという状態にして、パートやアルバイト等収入の不安定な方へ貸しだすこともあります。
しかし、生活保護を受けている方に対してはどうなのでしょう?
生活保護期間中でもカードローンの審査に申し込めるのでしょうか?
まずは、生活保護中とはどういう状態の事を言うのか、詳しく見ていきましょう。
1.生活保護中とは?
生活保護と言うのは、経済的に厳しい状況にある国民に対して、国や自治体がその困窮の程度に応じて、その人が最低限の生活を送るための保護費を支給する制度のことを言います。同時に自立するための手助けも行っていきます。
働くことができず、生活を続けていくことも難しくなってしまった国民を守るための、大切な制度です。
一見メリットだらけの制度のように感じられますね。保護費をもらえるなら、働かずにいた方がいいのでは?と考える方もいるでしょう。
しかし、メリットはもちろんあるものの、デメリットと思われる部分も多々あるのがこの制度です。
生活保護のメリット
・生活に困らなくなる
必要最低限ではあるものの、生活に必要と思われるだけの額を支給されるので、生活していけないという不安が取り除かれます。細々と言う状態にはなりますが、人としての生活は守られます。
・公共料金の支払いが免除
国民年金保険料、NHK受信料、医療費などが全て免除されます。毎月これらの支払いに悩まされていた方にとって大きなメリットですね。
・税金がかからない
生活保護費からは税金はとられないので、住民税、所得税等の税金を支払う必要がありません。
その他、生活していくうえでの様々な場面で、カバーしてもらえる税金や支払が多いのも、生活保護ならではのメリットです。
生活保護のデメリット
しかしこの制度を利用する際、勿論デメリットも存在しますので、デメリット部分をしっかりと踏まえたうえで申請することが大切です。
・貯金ができない
生活保護費は、生活に必要な最低限のお金だけの支給となります。ですから、その中からいくらやり繰りして貯蓄しようと思ってもできません。貯蓄はしてはならないのです。「貯蓄できるということは保護費が多いということ」と認識され、貯蓄している事がわかってしまうと支給額を減額されることになります。
また、他に収入があり、その収入分を貯蓄しようと思ってもダメです。
収入があり、貯蓄出来るほどに生活の余裕があるのなら、当然、生活保護費は減額されてしまいます。
生活保護を受けると、その瞬間生きていくのには困りませんが、将来設計や蓄えを行えないのは、不安ですね。自分一人だけならいいのですが、家族や子供がいる場合、貯蓄がないことで困る場面も多々あることでしょう。
・車などの高額商品を購入できない
その地域や自治体によって、車の所有を認めている場所もありますが、基本的には車は所有できません。購入費用も高額ですし、持っているだけで維持費がかさんでしまうため、こういったものは所有に制限がかかってしまうのです。
その他、パソコンや高額な電化製品なども、生活に必要と考えられるものは認められますが、贅沢品と考えられるものは購入が認められません。
・収入が他にあれば申告が必要
臨時収入や、内職などの収入も全て申告しなければなりません。その収入によっては保護費が減額されてしまいます。また、パチンコ等のギャンブルによる賞金は全額返還しなければなりません。
もし申告しないと、保護が受けられなくなったり、保護費の返還を求められたりしてしまいます。
・住む場所の指定
家賃は支給されるのですが、その上限が決まっているので、自分の希望通りの家に住むことは叶いません。ある程度の妥協が必要となります。
・指導
生活保護中と言うのは、お金を支給してもらうだけではなく、その後社会に出て働けるようになるための手助けをする制度でもあります。そのため、指導員からの社会復帰の指導をされます。
勿論無理難題を言われることはありませんが、いつまでも働かずに好き勝手しているわけにもいかないのです。
・病院の指定
医療費は支給されるのですが、指定された病院にしかかかることができません。いつも利用しているかかりつけの病院でも、そこが指定の医療機関でなければ受診する事が出来ません。
このように、最低限の生活が守られる半面、かなり制限される部分も増えるので、自由を奪われるような状況とも考えられるでしょう。しかし、働きたくても働くことがかなわず、最低限の生活もままならない状況であれば、活用すべき制度です。
今は、安易に生活保護の申請を行う方も増えていますが、デメリット部分を踏まえたうえでも、生活保護を受けた方が救われると考えられる方のみ慎重に申請を行うことが大切です。
2.生活保護中のカードローン審査申し込み
上記のような生活保護中、最低限の生活は守られているのですが、貯蓄が出来ない分、急に大きなお金が必要となった場合に対応出来ないものですね。
冠婚葬祭など、特別な出費等に対応するために、困った時一時的に借りられるカードローン等を利用できると便利なものです。
しかし、生活保護中にローンの利用は可能なのでしょうか?
残念ながら、生活保護中にローンを申し込むことはできません。
生活保護中と言うことは、生活に必要な最低限のお金しか支給されていない状態のことを指します。当然貯蓄もありません。余裕のある収入も全て申告して、それによって支給額が減額されてしまうこともあります。
つまりギリギリの生活をしている中で、カードローンを利用しても、その返済に充てるお金を捻出できないであろうと推測されてしまうのです。
そのような状態では、金融機関も安心して貸しだせないというのは当然でしょう。
3.生活保護中にどうしてもカードローンを利用したい場合は
生活保護中の規定として、「借入してはならない」という言葉はありません。勿論基本的には行わないことがベストなのですが、どうしても借入しなければならない状況があるのなら、「生活保護中」と金融機関に申告しなければ、審査に通過する場合もあります。
と言うのも、生活保護中かどうかと言うのは、個人信用情報にも記載されておらず、それ以外に知るための資料も存在しないからです。
生活保護中かどうかと言うのは、自己申告によってわかることになるので、この申告をせず、例えば他に収入がある場合、その勤務先と収入を伝えることで借り入れが可能になる場合があります。
但し、借入すると利息の返済もしなければならなくなります。ギリギリの生活の中から、その返済額を捻出するのは並大抵のことではないでしょう。
また、保護費も国民の税金で賄われている以上、それを借金返済や利息の為に使うということは、日本国民を敵に回すような行為です。
さらに、万が一、カードローンを利用していることが発覚した場合、保護費の支給が打ち切られたり、減額されたりしてしまうことも充分考えられるので、そのことを踏まえたうえで利用するか否か慎重に考えることが大切です。