保証人と連帯保証人の違い

保証人と連帯保証人の違い
最近はローンを組む時や、賃貸契約を交わす場合なども、「保証人」ではなく「連帯保証人」を立てるようにしていることが多いようです。

しかし、どちらも「保証人」ですから、「連帯」がつくか否かについてそれほど気にかける方もいないかもしれませんね。

保証人も連帯保証人も同じこと、と考えている方が多いかもしれません。

もちろんどちらも同じ保証人であることに変わりはないのですが、実はそれぞれ役割に若干の違いがあるのです。

今回は、保証人と連帯保証人ではどのような点で違ってくるのか、その特徴と一緒に見ていきたいと思います。

 

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1.保証人とは

主たる債務者がお金を支払えなくなった場合に代わりに返済をしなければならない立場の方を、保証人と言います。法的の保証人は「保証人」と「連帯保証人」の2種類に分けることができます。

そのうち「連帯」という言葉がつかないただの保証人の場合、以下のような様々な権利が与えられることになります。

催告の抗弁権

債権者から支払いを要求されても、「まずは主たる債務者に先に請求してほしい」と主張することができる権利です。あくまでも、自分は債務者ではなく、債務者の保証人であるため、債務者に支払える能力があるのであれば、自分は支払う必要はないと強く伝えることが許されているのです。

しかし、主たる債務者が自己破産などの債務整理を行ってしまったり、行方不明となり債権者が請求出来ない状態になってしまった場合には、この催告の抗弁権は消滅してしまいます。

検索の抗弁権

主たる債務者が返済出来る能力を持っているのにもかかわらず返済を拒否した場合、債権者から保証人に対して返済請求がなされることになりますが、この時、保証人が主たる債務者の支払い能力を証明する書類などを用意することが出来れば、それを理由に支払い請求を拒否することが許されます。

この権利を使って、保証人は主たる債務者の財産差し押さえを要求することも出来るのです。

分別の利益

保証人が一人ではなく複数いる場合は、その保証人全員の人数で借入額を割り、それぞれ割り当てられた額だけを支払えばいいと言う権利です。保証人の人数が多ければ多いほど、一人の負担額は減っていきます。

しかし、最近では様々な契約で「連帯保証人」とする場合がほとんどです。

連帯がつくことで、保証人としての権利を得られなくなってしまうため、債権者としてはリスク回避の為にあえて「連帯」としているのです。

では、連帯保証人と言うのはどのようなものなのか詳しく見ていきましょう。

 

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2.連帯保証人とは

権利の喪失

保証人であれば、その債務については、主たる債務者が必ず先であり、債務者に支払い能力がなくなって初めて保証人に請求がいく仕組みとなります。

あくまでも保証人は債務者の次なのです。

しかし連帯保証人となってしまうと、保証人も債務者もどちらも同じ立場になってしまいます。どちらが先か後かということもなくなってしまうのです。

また、保証人を守るための権利を得ることができません。

「債務者に先に請求して欲しい」と主張する催告の抗弁権も、「債務者の財産の差し押さえをしてほしい」と要求する検索の抗弁権も使うことが出来ないのです。

もし債務者に支払う能力があり、資金もあるということがわかっていても、それを理由に支払いを免れることも出来ないのです。債務者が支払わなければ、その債務は自動的に連帯保証人にやってきます。

分別の利益もない

連帯保証人が複数いたとしても、全員で借入額を割って、それぞれの負担を減らすということができません。それぞれに全額の支払い義務が生じてしまうのです。

ですから、債権者は、連帯保証人の中でも一番支払ってくれそうな人を選び、その人だけに全額支払いを要求をしてもいいのです。

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債務者が自己破産しても、保証人の返済義務は消失しない

債務者が自己破産すると、その借金は帳消しとなります。自己破産することはもちろんデメリット部分も大きいものですが、多額の借金から解放されるので一安心ともいえますね。

しかし、連帯保証人は一安心とは言えません。

借金が帳消しになるのだから、連帯保証人も同時に帳消しになると考える方がいますが、実は債務者が自己破産しても、連帯保証人本人が自己破産しなければ、その借金は連帯保証人に降りかかってくるのです。

債務者の支払いが不可能となった場合に代わりに支払うべき人が保証人なのですから、当然と言えば当然ですね。

これについては連帯保証人もただの保証人も同じ扱いになります。

しかも、分割ではなく、一括での返済を要求されてしまいます。そのため、連帯保証人(保証人)になってしまったばっかりに家を手放すはめになるなどの大きなデメリットを抱える方も少なくないのです。

借金をする場合や自己破産をするときには、連帯保証人(保証人)に降りかかる損害をしっかりと考えたうえで慎重に行うことが大切です。

連帯保証人(保証人)には誰でもなりたくないと考えるものですが、債務者への善意から名前を書いているのです。その善意を裏切ることのないよう、確実な返済を行っていきましょう。

また、もし連帯保証人になってほしいと依頼された場合には、相手との関係性をしっかり見極め、慎重に行うことが大切です。

一つもメリットがないにもかかわらず、債務者と同じだけの支払い義務を背負うことになるのですから、余程のことがない限り連帯保証人にはならない方がいいでしょう。

どんなに信頼できる相手でも、お金が絡むとどうなるかはわからないものです。

賃貸契約であれば、連帯保証人になっても負担するのは家賃程度だろうと軽く考えることも危険です。家賃だけと思っていたら、火災などの思わぬ被害により、多額の債務を背負うこととなるかもしれません。

3.連帯保証人になるには

誰でも連帯保証人になれるわけではありません。

連帯保証人になりたいという方は少ないかとは思いますが、自分の子供が家を購入するためにローンを組む、アパートを借りるために賃貸契約を交わすという場合は、親であれば連帯保証人として名前を書いてあげることが普通です。

しかし、連帯保証人になろうと思っても、保証人に返済能力がなければ不可能なのです。

連帯保証人と言うのは、債務者に代わって借金を弁済するだけの能力がなければ、意味がありません。そのため、様々な条件をクリアしなければいけないのです。

・持ち家であること
・安定した会社の正社員であること
・勤続年数が長いこと
・安定した収入があること
・過去の借り入れ状況に問題がないこと
・債務整理などの過去がないこと

など、借入本人と同じような審査が行われます。

この審査に通過して初めて連帯保証人となれるのです。

連帯保証人には誰もないたくないものですが、子供が保証人を見つけられないがために必要な契約を交わせないということが起こらないためにも、親として連帯保証人になれるだけの能力を備えておくことも大切ですね。

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